支持療法とは
抗がん剤(FOLFIRINOXやGEMーnabパクリなど)で治療をしている方が悩むのが副作用。
副作用に対する治療を「支持療法」と言います。
副作用も様々な症状がありますが、その中でも頻出する症状に絞って治療薬や対策などの説明を行っていきます。
抗がん剤で起こる代表的な副作用
- 嘔気、嘔吐
- 下痢(粘膜障害)
- 末梢神経障害
- 口内炎
- 骨髄抑制
- 脱毛
出やすい副作用には、これらが挙げられます。
このシリーズでは、それぞれの症状や、その対処法について見ていきます。
今回は嘔気、嘔吐を詳しく見てみましょう。
嘔気、嘔吐
必ず皆さんに理解して欲しいことは「嘔気(吐き気)」と「嘔吐」は全く違う症状ということ。
「嘔吐」は薬の服用により症状を抑えたり、症状が起こることを未然に防ぐことが可能です。
しかし、「嘔気(吐き気)」は完全に取りきることはできないことが多いと言われています。
では、「嘔気」と「嘔吐」はどのような薬を使って改善させるかを見ていきます。
「嘔気(吐き気)」・「嘔吐」の治療薬での対処法
これから紹介するものが、主に使用されている「嘔気」「嘔吐」の治療薬です。
処方された薬がどういうときに効くものなのか、理解して飲むのは大切なことです。
(たくさんある薬を納得して飲むこと、これに効くと思って飲むことが、薬を飲む大変さを軽減したり効き目にも影響が出ることもあります。)
嘔吐の種類によって使われる薬が異なるため、まずは自分がなにに当てはまるか確認しましょう。
急性嘔吐・・・24時間以内に起こる嘔吐
遅発性嘔吐・・・24時間以降に起こり、2~5日続く嘔吐
予期性嘔吐・・・精神的要因で起こる嘔吐
急性嘔吐・遅発性嘔吐の両方に有効な薬
ノバミン(プロクロルペラジン)、プリンペラン(メトクロプラミド)
脳に働きかけて嘔吐を抑制する「中枢性ドパミンD2受容体拮抗薬」と呼ばれ、急性・遅発性の嘔吐に用いられます。
もともとノバミンは統合失調症、プリンペランは胃腸の動きを活発にする薬ですが、二つとも嘔吐によく効きます。
脳に働きかける関係上、多用すると手の震えや生理不順が出やすいという副作用があります。ノバミンは、他にもノドの渇きや便秘、立ちくらみなども出ることがあるようです。
ドパミンD2受容体:脳内のCTZ(Chemoreceptor Trigger Zone:化学受容器引き金帯)と呼ばれる場所(嘔吐中枢)に存在していて、ドーパミンという神経伝達物質を受け取る役割をしています。この受容体を拮抗することで嘔吐を抑制します。
急性嘔吐に有効な薬
カイトリル(グラニセトロン)、ゾフラン(オンダンセトロン)
「5-HT3受容体拮抗薬」と呼ばれ、急性嘔気、嘔吐に有効と言われています。
抗がん剤や放射線治療の1時間前に予防的に投与されます。抗がん剤や放射線治療では、即時型の嘔吐はだいたい1~2時間後に現れ、この二つはこのタイプの嘔吐によく効きます。
どちらも副作用はほとんどなく、人によって頭痛や倦怠感が出ることがあります。
5-HT3受容体:腸管神経や脳内のCTZ(化学受容器引き金帯)に存在しています。この受容体はセロトニンによる刺激を受けることで、脳内のCTZを刺激し、嘔吐を引き起こしているため、この受容体を遮断すると嘔吐が抑制されます。
遅発性嘔吐に有効な薬
イメンド(アプレピタント)
「選択的NK1受容体拮抗薬」と呼ばれ、遅発性嘔吐に有効と言われています。
副作用は少ないほうで、人によって頭痛や便秘、しゃっくりを起こすことがあります。
NK1(ニューロキニン1)受容体:中枢性(脳内)の嘔吐反応にかかわる受容体のこと。イメンドはこの受容体を選んで結合するという、他の薬とは異なる仕組みになっているのでよく効きます。
予期性嘔吐に有効な薬
ワイパックス(ロラゼパム)、ソラナックス(アルプラゾラム)
脳のリラックス系の神経受容体に結合する「ベンゾジアゼピン系抗不安薬」と呼ばれ、予期性嘔吐に対して用いられます。
しかし、他の制吐剤で効果が見られない場合かつ、精神的要因が考えられる場合において用いられます。
副作用はほとんどありませんが、人によっては眠気やふらつき、倦怠感などが出ることがあります。安全性が高いのがこの薬の特徴です。
その他の用途で使われる嘔吐に対する薬
デカドロン(デキサメタゾン)
副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)。この薬は嘔吐の予防として抗がん剤治療の前に投与されます。
抗がん剤治療の前には高い確率で服用する薬です。
以下の記事の抗がん剤FOLFIRINOXで、最初の30分間で投与するのがデカドロンです。
副作用は服用期間や服用量によって異なり、少量なら心配いりません。長期間多めの量を服用した場合、かなりの頻度で顔がふくらむムーンフェイス(脂肪の異常沈着)が起きます。
トラベルミン(ジフェンヒドラミン)、アタラックスP(ヒドロキシジン)
抗ヒスタミン薬と呼ばれ、体を動かした時に起こる嘔気や嘔吐に用いられます。
いわゆる乗り物酔いに使う薬です。眠気が起こることがあるため、注意が必要です。
「嘔吐」・「嘔気」の薬以外の対策方法
次に、「薬を使っても『嘔気(吐き気)』は残ることが多い」と説明しましたが、薬以外でできる対策を紹介します。
- 食事を1度に無理に摂らない。
→ 一度に多く摂ることで、胃腸が刺激され嘔気や嘔吐の原因になります。 - 臭いが強いものや苦手なものは避ける。
→ 抗がん剤治療を行っている場合、匂いに対して敏感になっていることが多い為、注意する。 - 温かいものを避ける。
→ 湯気によって鼻腔や咽頭部が刺激され嘔気や嘔吐に繋がる恐れがあります。 - 薬物治療以外に没頭できることを見つける。
→ 常に体調を気にすることで、かえってストレスの原因となり嘔気などの症状が現れることがあります。
「嘔気」や「嘔吐」は全ての方が戦う副作用の代表です。
薬の知識と対策を上手に使ってこの症状を倒しましょう!!
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