いくら掛かるのか
重粒子線治療の金額について、目安をご紹介したいと思います。
九州国際重粒子線がん治療センター(SAGA HIMAT)のサイトによると、
膵臓がんの場合、
【重粒子線治療】(先進医療部分で保険適用外=自己負担)が314万円、
【診察や入院、検査、薬代】(公的保険適用部分)は通常どおり自己負担額は3割です。
この314万円ですが、疾患の種類によって照射の回数が異なってきますが、何回やっても「重粒子線治療は314万円」と決まっているそうです。
(群馬大学重粒子線医学研究センターより。千葉県放射線医学総合研究所病院も314万円。神奈川県立がんセンターでは350万円。でも兵庫県立粒子線医療センターでは288万3,000円と書いてありますね。)
病院によって差異はありますが、大体300~350万円といった感じですね。
残りの3割については、高額医療費制度が使えます。
助成金があるところも
県民の方が使えるものや、国内在住なら使えるものなど、多くはないですがあります。
詳細は各ページに載っています。
貸付:お金を借りた後、一定期間の間に返せばOK
利子一部補給:金融機関から重粒子線治療費用にお金を借りた場合、借入利子の一部の金額をもらえる
一部給付:重粒子線治療費の一部の金額をもらえる
国内在住の方ならOKなもの
- 兵庫県:貸付
対象:国内在住1年以上で世帯全員の総所得金額の合計額が346万円以下の方
助成の種類:貸付(無利子)
貸付費用:重粒子線治療技術費 最大288万3,000円
その他:連帯保証人1人必要、10年以内に償還
相談窓口:兵庫県立粒子線医療センター 総務課
県民の方向けのもの
- 群馬県:利子一部補給
対象:群馬県に1年以上在住している県民
条件:群馬大学の重粒子線治療を受けるために、患者または親族が治療費を金融機関などから借り受けた場合
助成の種類:利子の一部補給
対象借入金:重粒子線治療技術費 最大314万円(最大7年間の返済を限度)
その他:補助率の違いあり
病院での相談窓口:群馬県健康福祉部 医務課 医療計画係
提出書類一式:群馬県ホームページ(ページの下のほう)
- 神奈川県その1:一部給付
対象:神奈川県に「治療費支払い」の時点で1年以上在住している県民
条件:神奈川県立がんセンターで受診し、重粒子線治療を受けた & 重粒子線治療を対象とした先進医療特約付きの保険の契約、共済契約をしていない、または契約していても治療費の全額ではなく一部給付なら、その給付額と治療費350万円の差額分はもらえる←差額が35万円以上だと35万円まで。
助成の種類:一部助成(35万円まで)
相談窓口:神奈川県保健福祉局保健医療部県立病院課 病院機構グループ(県庁 分庁舎2階)
提出書類一式:神奈川県ホームページ(ページの上半分)
- 神奈川県その2:利子一部補給
対象:神奈川県に「治療決定」の時点で1年以上在住している県民
条件:神奈川県立がんセンターで重粒子線治療を受けるために、本人または親族が治療費を金融機関(重粒子線治療専用ローン)から借り受けた(民間の先進医療特約保険で給付を受ける分は、利子補給の対象外となります)
助成の種類:利子の一部補給
対象借入金:重粒子線治療技術費 最大315万円(借入利率6%、最大7年間の返済を限度)
相談窓口:神奈川県保健福祉局保健医療部県立病院課 病院機構グループ(県庁 分庁舎2階)
提出書類一式:神奈川県ホームページ(ページの下半分)
- 神奈川県大和市:一部給付
対象:大和市に「治療開始」の時点で1年以上住民登録のある市民
条件:神奈川県立がんセンターで重粒子線の治療中または過去に治療を受けた & 神奈川県の助成金交付決定を受けている & 大和市の市税に滞納がない & 世帯の課税総所得金額の合計が600万円以下
助成の種類:一部助成
給付額:35万円 (粒子線治療費 – 神奈川県の助成金 – 先進医療特約保険などの給付金 – その他の給付金 = 35万円以下の場合はその金額。)
相談窓口:健康づくり推進課(大和市保健福祉センター4階)
提出書類一式:大和市ホームページ
- 鳥取県:利子一部補給
対象:鳥取県に住所を有していて、かつ1年以上在住している県民
条件:国内で先進医療を受ける予定のある患者または親族(3親等以内)& 課税総所得が600万円以下の世帯に属する
助成の種類:利子の一部補給
対象借入金:重粒子線治療技術費 最大300万円 (年利固定6%以内、助成期間は最長7年間以内)
その他:県が指定する専用ローンあり
相談窓口:鳥取県福祉保健部 健康医療局 健康政策課
提出書類一式:鳥取県ホームページ
- 福岡県:利子一部補給
対象:福岡県に「治療開始」の時点で1年以上在住している県民
条件:「九州国際重粒子線がん治療センター(サガハイマット)」で重粒子線治療を受け、治療費支払いのために金融機関から借り入れを行った患者または親族(3親等以内)& 課税総所得が600万円以下の世帯に属する
助成の種類:利子の一部補給
対象借入金:重粒子線治療技術費 最大314万円 (年利率6%以内、助成期間は最長7年間以内)
相談窓口:福岡県がん感染症疾病対策課 感染症対策係
提出書類一式:福岡県ホームページ
- 佐賀県:利子一部補給
対象:佐賀県に在住している県民
条件:重粒子線治療を受ける際、治療費を金融機関から借り受けた患者または同一世帯に属する方、または親族(所得制限なし)
助成の種類:利子の一部補給
対象借入金:重粒子線治療技術費(年利率6%以内、助成期間は最長7年間以内)
相談窓口:佐賀県福祉課 粒子線治療普及担当
提出書類一式:佐賀県ホームページ
- 佐賀県鳥栖市:一部給付
対象:鳥栖市に「治療開始」の時点で1年以上住所を有している市民
条件:重粒子線治療を受け、治療費を支払った
助成の種類:一部助成
給付額:治療費の15分の1以内(限度額20万円)
相談窓口:鳥栖市役所 企画政策部 総合政策課 政策推進係
提出書類一式:鳥栖市ホームページ
※このほかにも抜けているものがありましたら、お知らせいただけましたら掲載いたします。
お母さんプロジェクト様
重粒子線治療情報を体系的に整理頂き、本当に有り難う御座いました。これだけの情報を収集されるのは大変だったかと思います。すべての膵がんの方に重粒子線が効果があるとは思いませんが、私の最初の主治医が言っていた言葉『林さんの癌はこれだけ大きいのに他の臓器への転移が見られない。もしかすると転移しずらい癌かもしれないので希望を捨てないでください』を思い出します。結果的には6年目を迎えても再発転移がなくオリゴ転移型のすい臓がんだったのかと思っています。すい臓がんの内約3割はオリゴ転移型のすい臓がんだと言うアメリカでの統計結果もありますので、その方たちには希望を与えることができるのではないかと思います。お忙しい中大変だとは思いますが、今後も情報の発信を期待しております。
林様
コメントを頂き、ありがとうございます。
確かに、転移がしづらいというオリゴ転移型のすい臓がんの方にとっては、林さんの体験と結果はとても希望の持てるものだと思います。
(本当に、情報を頂きありがとうございました!)
そのような方に「気づいてもらう」きっかけとなれば嬉しいですね。
※パンキャンの2014年の記事ですと、転移型について、日本でもアメリカの統計と類似した結果が出たと書かれていますね。⇒国内ニュース:膵臓がんのオリゴ転移型と広範囲転移型
時間の惜しい膵臓がん患者さんにとっては、「散らばった情報がまとまっていること」・「難しい内容が分かりやすく解説されていること」は大切なことだと感じています。これからもご期待に沿えるようがんばります!
素晴らしい記事掲載ありがとうございます。
私の妻も4月に膵臓がんと判明し抗ガン剤治療をしています。
セカンドオピニオンで重粒子線を受診しましたが十二指腸と腫瘍が隣接している為にリスクがあり抗ガン剤を2〜3クールして十二指腸と腫瘍が離れれば重粒子線が対応可能と診断を受けてます。それまで何とか抗ガン剤に耐えて転移がないことを祈るばかりです。
何か良い情報やアドバイスがあれば宜しくお願いします。
ダイナ様
コメントを頂きましてありがとうございます。
少しでもお役に立てていたら嬉しいです。
仰る通り、消化管と接していると重粒子線治療はできないようですね。
体験談にある林さんも最初は胃と癌が接していたようです。
(PDF内、体験談の次のページから数ページ、担当医による解説があります)
すでにご存知かもしれませんが、抗がん剤など日本の膵臓癌治療については、日本膵臓学会発行の診療ガイドライン(http://www.suizou.org/pdf/pancreatic_cancer_cpg-2013.pdf /2013が最新)というものがありますので、CQ 5-2(PDF内p.118~)などが参考になると思います。
重粒子線治療については、今のところ各重粒子線施設のサイトが一番情報が充実しています。
(特に千葉県のものが細かく載っています。⇒http://www.nirs.qst.go.jp/hospital/conform/conform_05f.shtml
参考資料のPDF後半も参考になると思います。⇒http://www.nirs.qst.go.jp/hospital/pdf/proceedings_j.pdf)
まずはストレスを溜めず、適度に体や患部を温めて免疫力が落ちないよう気を付けてくださいね。
(抗がん剤で免疫力が落ちがちですが、抗がん剤や重粒子線治療の効果を引き出すのも結局は体の治癒力である免疫力ですので・・・)
私たちも、抗がん剤が効くことを祈っております。