膵臓がんになると2週間に一度など、通院するたびに血液検査と尿検査を受けます。
それ(+画像等の検査結果)をもとに医師は病状の説明・治療方針の提示・薬の処方をしますが、できるならば自分自身でも「自分のいまの体のこと」を知っておきたいですよね。
ですが、いざ検査結果の用紙をもらっても、数値が高い低いだけでは意味がわからないと思います。(母の時も一体からだの中がどうなっているかよくわからなかったので、弟※薬剤師に根掘り葉掘り聞いたのでなんとかなりました。でも普通はそう上手くいきません。)
今回は、
- 血液検査・尿検査の数値がなにを意味しているのか
- 異常値になると体には何が起きているのか
- どうすればいいのか(どんどん追記していく予定です)
をまとめます。
血液検査・尿検査の基礎知識
基準値について
基本的には、健康な人の平均から基準値が設定されており、健康な人の検査結果の約95%がこの基準値に入るという値になっています。
ですが、病院によって基準値を設定していたり、年齢・性別などで基準値が異なることがあります。
今回このページでは、メルクマニュアルにて掲載されている数値を紹介しますが、
かかりつけの病院の基準値と異なる場合は病院のものを参考にしてください。
おそらく患者さんに合った基準値としているはずです。
それぞれの病院の基準値は、もらった検査結果にも記載があると思いますが、ネットで「○○病院 血液検査 基準値」などで調べると詳しく出てくることが多いです。
検査結果のもらい方
毎回渡してくれる医師もいれば、くれない医師もいます。診察時に「検査結果をください」と言えば、もらえます。
※このページの見方
おおまかに、臓器や器官ごとの検査項目に分けています。
基準値はメルクマニュアルより引用していますが、メルクマニュアルに掲載の無かった値は、*は島根大学医学部附属病院検査部より、**は信州上田医療センターより引用しています。
膵臓がん患者さんは特に気にしておいたほうがいい項目は黄色くハイライトにしています。
表のなかの「説明」部分で簡単にその物質の役割や増減の要因を書いていますが、詳しく知っておくといいものについては表の下で解説していますので参考にしてみてください。
※スマホの方は、画面を横にしたほうが見やすいと思います。
腫瘍マーカーに関する検査値
膵臓がんの腫瘍に反応するマーカーですが、腫瘍があれば必ず上昇するわけではなく、腫瘍マーカーごとに陽性率(正しく陽性反応の出る割合)が異なります。
また、膵臓がん以外の要因で上昇することがあります。
検査項目 | 項目名 | 基準値 (単位) |
説明 |
CA19-9 | – | 37(U / mℓ)未満 * | 膵癌、胆嚢・胆管癌、大腸癌、肝癌などで増加する。 |
CEA | 癌胎児性抗原 | 5.0(ng / mℓ)未満 * | 消化器系(胃、大腸、肝臓など)のがんで増加する。 |
DUPAN-2 | 膵臓関連糖蛋白抗原 | 150.0(U / mℓ)以下 | 膵癌、卵巣癌、肺癌などで増加する。 |
腫瘍マーカーは進行癌には向いていますが、例えば2cm以下小さい膵臓がんの場合はCA19-9の陽性率は約50%といわれており、早期の膵臓癌では異常値を示さないことが多いです。
膵臓がんの人は全員が異常値になるわけではないため、「この値が低ければ問題ない」というわけではありません。(また残念ながら早期発見の役には立ちません。)
また、これら腫瘍マーカー単体では腫瘍の検出率があまり高くありませんが、次の検査項目にあるアミラーゼなどの血中膵酵素や臨床症状などと一緒に調べることで検出率が上がるため、必ず組み合わせて考えましょう。
CA19-9
CA19-9は腫瘍マーカーの中でも一番膵臓がんに対する感度が高いとされています。
腫瘍マーカーの陽性率は、70~80%。
しかし、胆石によって胆管が塞がり、胆汁がうっ滞することでも上昇したりしますし、日本人の10%ほどは「Lewis血液型陰性(抗原が産生されず偽陰性を示してしまう)」なので進行した癌でもCA19-9が上昇しないことがあります。
CA19-9は膵臓がんの経過観察に有用で、生存率と相関関係がある・膵臓がん切除後の再発の診断に有用との報告があります。
膵臓がんが再発している可能性があります。
医師から治療法を提示されるはずですので、副作用や延命効果、QOLなどを踏まえ判断しましょう。数値によっては様子見の段階の場合もあります。
CEA
いろいろな悪性疾患で上昇するため膵臓がんに対する特異性はありませんが、癌の活動性をよく反映する腫瘍マーカーです。
CEAの腫瘍マーカー陽性率は、55~62%で、すべての患者さんが上昇するわけではなく、喫煙や胃がん・肺がん・大腸がんといった癌などでも上昇します。
抗原:異物(ウィルス、すぎ花粉、がんなど)が体に入るまたは発生すると、その異物にある抗原(目印)と特異的に結合する抗体を作り、異物を排除するように働きます。抗原は、抗体(ウィルスやがんなどと戦う物質)が標的とする物質のことを指します。
癌胎児性抗原(CEA):大腸癌組織から抽出される糖たんぱく。また胎児腸管にも存在することから、こう呼ばれています。大腸癌だけでなく、消化管を中心に各種臓器の癌で陽性となるため腫瘍マーカーとして使われています。
手術で癌を切除すると一度CEAの値は下がりますが、再度上昇した場合・切除後も減少しない場合は癌が残っている可能性があります。
医師から治療法を提示されるはずですので、副作用や延命効果、QOLなどを踏まえ判断しましょう。数値によっては様子見の段階の場合もあります。
DUPAN-2
DUPAN-2の腫瘍マーカー陽性率は、50~60%です。良性疾患でも上昇することがあるため、CA19-9などと合わせて判断すべきです。
膵臓関連糖蛋白抗原(DUPAN-2):血中のDUPAN-2は消化器系の腫瘍マーカーとして用いられますが、特に膵癌、胆道癌、肝癌で高い陽性率が認められます。
CA19-9も同時に上がっている場合、癌が再発している可能性があります。
医師から治療法を提示されるはずですので、副作用や延命効果、QOLなどを踏まえ判断しましょう。数値によっては様子見の段階の場合もあります。
膵臓に関する検査値
検査項目 | 項目名 | 基準値 (単位) |
説明 |
AMY | アミラーゼ | 53~123(IU /ℓ) | 膵臓や唾液腺に多く含まれるため、膵炎、膵癌、耳下腺炎などで増加し、糖尿病で減少する。 |
GLU | 血糖 | 73~109(mg / ㎗)* | 血液中のブドウ糖量。糖尿病で増加する。 |
アミラーゼ(と、エラスターゼ1など膵酵素)
アミラーゼ自体は膵臓に対する特異性は低いので、診断に使うのは「膵型アミラーゼ」です。急性膵炎になった場合、血中のアミラーゼはほぼ100%が膵型アミラーゼになります。
膵臓がんを疑った場合、まずアミラーゼを調べたと思います。
アミラーゼ(膵型アミラーゼ)は、リパーゼ・エラスターゼ1・トリプシン等と同じ膵酵素で、異常値になるのは膵臓がんだけではありませんが、癌によって膵管が塞がり膵炎が起こることにより、膵臓がん患者さんの20~50%にこの数値に異常が表れます。
特に、エラスターゼ1は膵臓がんでの異常値が出現する率が高いため、一緒に調べられます。
ただ、膵臓がん末期になると反対にエラスターゼ1は低く(正常値に)なります。つまり、膵臓がん初期=エラスターゼ1高い・膵臓がん末期=エラスターゼ1低いということですね。
アミラーゼ:アミラーゼはでんぷんを分解して糖をつくり出す消化酵素で、主に膵臓や唾液腺から分泌されます。
リパーゼ:膵臓に含まれる消化酵素のひとつで、十二指腸に分泌されて食物中の脂肪を分解する働きをします。
エラスターゼ1:主として膵臓に存在するたんぱく分解酵素の一つです。
トリプシン:膵臓より分泌される強力なたんぱく分解酵素のこと。
単位のIU:「国際単位」といい脂溶性のビタミンに使われます。重さではなく「生体に対する効力でその量を表す」単位とされていて、ビタミンの種類によって1IUの重さが決められています。(ビタミンA: 0.300μg、ビタミンC: 50μgなど)
手術で広範囲に膵臓を摘出したり、膵臓がん末期になるとアミラーゼ値が低下します。これは膵臓の機能が低下していることを示唆しています。
肝臓に関する検査値
肝臓ががん細胞や抗がん剤などで障害を受けたり、肝臓から胆管を通るはずの胆汁が腫瘍によって通れなかったりすると、普通なら肝臓から外に漏れない物質が血中に流れ出ます。それを計測しています。
検査項目 | 項目名 | 基準値 (単位) |
説明 |
T-BIL | 総ビリルビン | 1.0(mg / ㎗)以下 | 黄疸の程度を示す。 |
D-BIL | 直接ビリルビン | 0.4(mg / ㎗)以下 | |
γ-GTP | γーグルタミール・トランスペプチターゼ (γ:ガンマ) | 0~40(IU /ℓ) | 膵臓、肝臓、胆嚢の病気で胆汁の流れが悪くなると増加する。アルコールの多量摂取でも増加する。 |
ALP | アルカリフォスファターゼ | 104~338(IU /ℓ) | 膵臓、肝臓、胆嚢の病気で胆汁の流れが悪くなると増加する。骨の病気でも増加することがある。 |
AST(GOT) | トランスアミナーゼ(酵素) | 7〜27(IU /ℓ) | 肝臓の障害の程度を示す。肝臓の細胞が壊れる(急性・劇症肝炎、肝硬変など)、筋疾患などで増加する。肝臓以外の病気でも増加することがある。LDHは悪性腫瘍でも増加する。 |
ALT(GPT) | 1〜21(IU /ℓ) | ||
LDH | 乳酸脱水素酵素 | 50〜150(IU /ℓ) | |
TP | 総たんぱく | 6.0〜8.4(g / ㎗) | 栄養状態の指標。血液中のたんぱく質の総量を示す。脱水症、慢性炎症性疾患などで増加、栄養不足、腸吸収不良症候群などで減少する。 |
ALB | アルブミン(たんぱく質) | 3.5〜5.0(g / ㎗) | 体の栄養状態やむくみの治療の指標。脱水症で増加し、栄養不足、肝障害、腸吸収不良症候群などで減少する。水分の調整や血液中のさまざまな成分を全身に運ぶ役割。 |
総ビリルビン
総ビリルビンは、直接型ビリルビンと間接型ビリルビンを合計した数値です。
ビリルビンは、赤血球のなかにあるヘモグロビンが寿命が終わって黄色く変化したもので、
間接型ビリルビンは血中などで約120日の寿命を終えて破壊されたときにできる物質、
直接型ビリルビンは間接型ビリルビンが肝臓で処理されて胆汁となって肝臓→十二指腸→便となり排泄されます。
そのため、腫瘍によって胆管などが塞がると総ビリルビン(直接型ビリルビン)の数値が上昇し、黄疸が出ます。
基準値より高い場合(2倍以上、20mg / ㎗を超えているとすでに病気が発症している可能性)、「膵臓がん、胆のうがん、胆のう炎、肝臓がん、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、胆石症」などが疑われます。
軽度の基準値オーバーの場合は、体調による一時的な変化のこともあります。
異常値の場合は、他の肝機能の検査結果と合わせて状態を判断します。
γ-GTP
γ-GTPは、胆管から十二指腸にいたる部分(胆道系)に病気があると、血液中に大量に放出されます。
基準値を超える場合、「肝臓がん、膵臓がん、胆道がん」といった癌や、「胆のうや胆管の炎症、急性肝炎、慢性肝炎、アルコール性肝炎、薬物性肝障害、肝硬変」などの障害が起きている可能性があります。
アルコールの飲みすぎの場合は、γ-GTPのみ上昇します。また、薬を長期間服用することが原因で上昇することもあるようです。
ALP
ALPは肝臓や骨、腸に多く含まれる酵素で、胆汁にも流れ出ています。胆管が腫瘍などで塞がり胆汁が流れないとき(黄疸が出る場合)や、骨に転移があるときにALP値が高くなります。
他の検査値と合わせてみると、詳しく原因がわかります。
たとえば、
ALP異常値・ASTやALT異常値の場合・・・肝臓や胆道系の病気の疑い
ALP異常値・ASTやALTが正常な場合・・・上記以外の病気(肝臓は正常なので骨への転移)の疑い
ALP異常値・γ-GTP異常値の場合・・・胆道の閉塞や狭窄、肝内うっ血の疑い
ASTとALT
ASTとALTは肝細胞に多く含まれており、肝臓にダメージがあると血中に多くあふれ出します。ほかにも骨格筋や心筋にも含まれています。
100~500(IU /ℓ)以上になると肝臓が急激に障害を受けていることになりますが、ともに150(IU /ℓ)以下の軽い数値の上昇(基準値は27と21)がある場合、「肝臓がん、慢性肝炎、肝硬変」が疑われます。
ALB(アルブミン)
血清中に含まれるタンパク質のうち、半分はアルブミンです。
ALBが低くなる要因は以下の5つあります。
- タンパク質の「摂取不足」
(食事が摂れない・消化吸収不足・鉄分不足により貧血も併発している可能性) - タンパク質の「合成障害」
(肝機能低下によりタンパク質が作られにくい・総コレステロール(TC)やコリンエステラーゼ(ChE)も下がる・肝硬変や劇症肝炎がある場合は血小板(PLT)低下とALTやビリルビンが上昇) - タンパク質の「異化亢進(いかこうしん)」
(悪性腫瘍、手術などで炎症がある・CRPも上昇) - タンパク質の「体外喪失」
(腎臓から尿にタンパク質が出ている場合は尿蛋白の有無でわかる⇒有る場合ネフローゼ症候群・大量出血の場合はヘモグロビン(Hb)が下がる) - 腹水・胸水に漏出
ALBが高いときは、脱水症の可能性があります。(血中の水分が失われ濃縮状態になる)脱水の場合、腎臓の検査項目である尿素窒素(UN)、Na、Clなどの脱水を示す値が高くなります。
ALBが低いときは、低蛋白血症・肝臓障害・ネフローゼ症候群・栄養不良が疑われます。
また、ALBが低いと低アルブミン血症となり、血管内の水分が外に出やすくなるため、浮腫や腹水がたまりやすくなります。同時に利尿剤で強制的に体内の水分を排出することになりますので、水分不足に注意してください。(低アルブミン血症は利尿剤が効きにくいため、同時に高張アルブミン製剤を用いることがあります。)
ご飯をたくさん食べてもALBは上昇しませんが、食事内容が偏っていた場合、改善することによって上昇することもあります。
腎臓に関する検査値
通常なら腎臓でろ過されるはずの物質が、腎臓になにかしらの障害があることにより尿中に流れ出ていないかを調べています。
検査項目 | 項目名 | 基準値 (単位) |
説明 |
BUN | 尿素窒素 | 7〜18(mg / ㎗) | 腎臓から排出される老廃物で腎機能が悪くなったり脱水症で増加し、肝炎などで減少する。 |
CRN | クレアチニン | 0.6〜1.2(mg / ㎗) | |
Na | ナトリウム | 135〜145(mEq / ℓ) | 血液中の電解質の濃度。腎臓の病気やホルモン異常、脱水で増加し、摂取不足、嘔吐、下痢、腎不全などで減少する。 |
K | カリウム | 3.5〜5.0(mEq / ℓ) | |
Cl | クロール(塩素) | 101~108(mmol / ㎗) * | |
eGFR | 推算糸球体濾過量 | 90以上 腎機能低下は6段階で評価される |
腎機能の低下、腎臓の障害を示唆。クレアチニンは筋肉量に比例するため、正確に腎機能を把握するため血中のクレアチニン値・年齢・性別から算出される。 |
BUN(尿素窒素)
通常、血中の尿素窒素は腎臓でろ過されますが、腎臓の機能が低下していると血中に残ってしまいます。
BUNが高くなった場合、タンパク質の摂りすぎ、大量の消化管出血、悪性腫瘍、脱水症状が疑われます。
BUNが低くなった場合、タンパク質の摂取不足が疑われます。肝臓に重症障害がある・肝不全がある場合にも低値になります。
BUNは、食事やむくみなどの影響を受けるので、クレアチニンや尿検査などの結果と一緒に判断します。
尿素窒素:タンパク質が腎臓でろ過されたあとの「老廃物」で、尿として排泄されます。
クレアチニン:筋肉中の物質で、腎臓でろ過されたあとの「老廃物」で、尿として排泄されます。一般に女性より男性のほうが高い値になります。腎機能が低下すると、尿中のクレアチニンが減り、血中のクレアチニンが増加します。
単位のmEq(ミリ当量):電解質の量を表す単位で、電解質を含む溶液の濃度を表す場合、mEq/ℓを使用します。
電解質:体内に含まれているイオン(Na+、K+、Ca2+、Mg2+など)を言い、神経や筋肉などの活動に利用されたり、体液の出入りの調整などにも利用されます。
炎症に関する検査値
検査項目 | 項目名 | 基準値 (単位) |
説明 |
CRP | C反応性たんぱく | 0.00~0.14(mg / ㎗)* | 腫瘍、細菌感染などの炎症で増加する。炎症が回復すると減少する。 |
C反応性たんぱくは、細胞組織に傷がついたり、臓器や粘膜が炎症したときに発生するタンパク質です。炎症や組織細胞の破壊の程度が大きいほど、高値になります。
癌、悪性リンパ腫、細菌性肺炎(インフルエンザ菌など)やリウマチ熱、胃炎、やけどや虫歯などで増加するので、癌があるかの目安になります。
CRP値と悪液質(体重減少や腹水・胸水を発生させる)には大きな関係があるようです。
▼詳しくはこちらの記事をどうぞ(ページ中間あたりです)
炎症が起きて数時間で急上昇し、2~3時間でピークに達します。同じように炎症で増加する白血球は、CRPよりも早く上昇し、早く減少を始めます。ですが、白血球は激しい運動や喫煙などでも上昇してしまうため、CRPと白血球数とを合わせて判断します。
両方の数値が高くなっている場合・・・悪性腫瘍または細菌感染の疑い
CRPが低く、白血球数が高い場合・・・炎症初期・激しい運動・ストレス・喫煙などで白血球のみ上昇
CRPが高く、白血球数が低い場合・・・炎症回復期・ウイルス感染(CRPは細菌性感染では増加するが、ウイルス性では増加しない)
血液に関する検査値
検査項目 | 項目名 | 基準値 (単位) |
説明 |
HbA1c(NGSP) | ヘモグロビンA1c | 4.9~6.0(%)* | 過去1~2ヶ月間の血糖の平均値。長期にわたる治療の血糖コントロールがわかる。 |
WBC | 白血球数 | 4300〜1万800(mℓ) | 白血球細胞(好中球、リンパ球など)の総数。感染症、アレルギー、血液病で増減する。 |
RBC | 赤血球数 | 420〜590万(mℓ) | 貧血や出血で減少する。 |
Hb | ヘモグロビン | 男性:13〜18(g / ㎗) 女性:12〜16(g / ㎗) |
貧血を診断する指標。赤血球の中にあり、酸素を運び、二酸化炭素を回収する役割。 |
Ht | ヘマトクリット | 男性:45〜52(%) 女性:37〜48(%) |
赤血球(の全容積)が血液に占める割合。 |
MCV | 平均赤血球容積 | 76〜100(立方μmまたはfℓ) | 赤血球1個の平均の大きさ。(容積) |
MCH | 平均赤血球ヘモグロビン量 | 27〜32(pg / 細胞) | 赤血球1個に含まれるヘモグロビンの量。 |
MCHC | 平均赤血球ヘモグロビン濃度 | 32〜36(% ヘモグロビン / 細胞) | 赤血球1個の平均的なヘモグロビンの濃度。 |
RDW-CV | 赤血球容積粒度分布幅 | 11.3~14.5(%)** | 値が小さいと赤血球の大きさが揃っているということ。RDW-SDも同様。 |
PLT | 血小板数 | 15万〜35万(mℓ) | 減少すると出血しやすくなる。体の表面や内部で出血した時に血栓を作り止血する役割。 |
赤芽球比率 | – | 0.0 | 骨髄に存在する若い血液細胞。血中に現れると癌の骨転移が疑われる。 |
好中球数 | – | 2700~7000(μℓ)* | 好中球の細胞数。(白血球数×好中球) |
Neutro | 好中球 | 40.0~75.0(%)* | 細菌感染や炎症で増加する。ウイルス感染や薬剤により減少する。細菌などの異物を処理し、外敵から防ぐ役割。 |
Lymph | リンパ球 | 16.5~49.5(%)* | ウイルス感染で増加し、結核やSLEなどで減少する。病原菌が入ってきたときに、抗体を作って退治したり外敵を記憶する役割。 |
Mono | 単球 | 2.0~10.0(%)* | 血中から組織内に入ってマクロファージとなり病原菌や異物を食べ、老廃物の除去や組織の修復をする役割。 |
Eosino(Eos) | 好酸球 | 0.0~8.5(%)* | 喘息やアレルギー性疾患で増加する。体の防衛反応に関与。 |
Baso | 好塩基球 | 0.0~2.5(%)* | ヒスタミンを放出し、アレルギーや血管拡張などの作用に関与。 |
HbA1c(ヘモグロビンA1c)
赤血球のヘモグロビンに血液中のブドウ糖が安定して結合したものがHbA1cで、普段「血糖値」と言っているものは血液中のブドウ糖の濃度を指します。
赤血球は寿命までの120日(約4か月)の間、全身を巡りながらブドウ糖と結合していきますが、古くなったものは排出され、代わりに骨髄から新しい赤血球が産生され入れ替わるので、3~4か月経ったものは体内の約10%ほどになります。そのため、HbA1cは1~2か月間の血糖の平均を反映します。
糖尿病のように、血糖値が高い状態がずっと続くとヘモグロビンと結びつく数が増え、HbA1cが上昇します。
HbA1cが基準値よりも高い場合、下記3つのうちいずれかに当てはまる場合は糖尿病と判断します。
1)空腹時血糖126mg/㎗以上
2)75gブドウ糖負荷試験2時間値200mg/㎗以上
3)随時血糖200mg/㎗以上
※75gブドウ糖負荷試験:75gのブドウ糖を経口投与し、インスリンが正常に分泌されていれば血糖値が正常に下がるが、糖尿病の場合インスリンの総量が少なくブドウ糖を代謝しきれず尿に糖が流れ出ることで判断する検査
WBC(白血球数)
白血球には好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球といった種類があり、どれが多いかによって病気を特定しやすくなります。
WBCが急激に低くなった場合、抗がん剤の影響が出ている可能性があります。
また、CRP値と一緒に見ると炎症の原因がわかります。
両方の数値が高くなっている場合・・・悪性腫瘍または細菌感染の疑い
CRPが低く、白血球数が高い場合・・・炎症初期・激しい運動・ストレス・喫煙などで白血球のみ上昇
CRPが高く、白血球数が低い場合・・・炎症回復期・ウイルス感染(CRPは細菌性感染では増加するが、ウイルス性では増加しない)
好中球数
好中球は、白血球のなかに約40~70%含まれています。
好中球数が増加する要因は3つあります。
- 炎症(悪性腫瘍、感染症、梗塞など)
- 白血病
- 生理的な増加(運動、精神的興奮、外科手術、麻酔、たばこ、寒冷刺激など)
反対に、好中球数が減少する要因は以下の3つです。
- 産生抑制(薬剤、放射線治療、骨髄の産生抑制など)
- 破壊・消費(薬剤、重症感染症、自己免疫疾患)
- 分布異常(大量出血、腫瘍や肝硬変)
好中球数が高くなった場合、上記CRP値と白血球数の関係と併せて確認します。
好中球数が低くなった場合で、白血球数、赤血球、血小板数など、血球成分が全体的に減少している場合には、血球が壊されるような病気(肝硬変など)・骨髄に異常が出る病気(骨への転移、抗がん剤など)・血球の分布異常(大量出血など)が疑われます。
単位のpg(ピコグラム):1グラムの1兆分の1(1/1,000,000,000,000)の重さを表します。
fℓ(フェムトリットル):1リットルの1,000兆分の1(1/1,000,000,000,000,000)の量を表します。
μm(マイクロメートル):1メートルの100万分の1(1/1,000,000)の長さを表します。立方μm(μ㎥)は1/1,000,000,000,000の堆積を表します。
SLE:全身性エリテマトーデスのこと。体内の色々な臓器に炎症を起こす病気。免疫のバランスが崩れることが病気を起こす原因とされています。国の難病指定を受けています。
マクロファージ:異物を取り込んで消化したり、その異物の抗原(目印)の情報をT細胞に伝える役割などをしています。
好酸球:アレルギーと関わりが深い白血球の一種。
好塩基球:白血球の一種であり、白血球全体の3%未満と数は少ないです。ヒスタミンなどを放出し、アレルギー開始に関与することがあります。
筋肉に関する検査値
検査項目 | 項目名 | 基準値 (単位) |
説明 |
CK | クレアチンキナーゼ | 男性:38〜174(IU /ℓ) 女性:96〜140(IU /ℓ) |
骨格筋や心筋、中枢神経疾患などの細胞の障害で増加する。(激しい運動でも増加) |
クレアチンキナーゼ:筋肉に多量に存在し、心筋や脳細胞にも含まれる酵素で、筋肉細胞のエネルギー代謝に重要な役割を果たしています。一方、血球や臓器には含まれていないため、数値が増減した場合、筋肉や脳に異常があると判断できます。筋肉注射・血管への注射・手術後などには上昇します。
その他の検査値
検査項目 | 項目名 | 基準値 (単位) |
説明 |
乳ビ | – | – | 採血前に食事を取ると、脂肪が血中に残り血清などが白濁する(=乳ビ)ため、その有無。乳ビによって影響を受ける検査項目があるため、通常は12時間程絶食して採血する。 |
溶血 | – | – | 赤血球が破壊されることでヘモグロビンが血清や血漿に溶け出し、赤みを帯びるため、その有無。溶血によって影響を受ける検査項目がある。 |
最後に
血液検査・尿検査は、正確に数値が表れなかったり、ひとつの検査項目だけで判断できるものでなく、他の検査値やCT・MRIなどの画像検査、症状と一緒に判断すべきものです。
まずはこの結果を過信しすぎず、主治医の先生と疑問点はよく相談しましょう。
ここに載っていない検査値で知りたいものがありましたら、コメントしていただけたら嬉しいです。
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