膵臓がんの5年生存率を見る
全がん協の統計を見てみます。(うす緑欄に診断されたときの病期(ステージ)の割合も入れました)
この表を見て、「あぁ生存率が悪い」とだけ読み取るのはもったいない。
確かにステージⅣで見つかった場合、5年生存率は1.6%と厳しいですが、5年生きるというのはものすごいことです。4年も生きた人でさえ、ここにはカウントされていません。長く生きたいのはもちろんそうですが、「5年」という区切りは人生に意味があるでしょうか?
膵臓がんの生存率が他のがんに比べて悪いのは、早期発見が難しいことが一番大きいです。
というのも、たとえば癌が1cmのときよりも1mmのときに見つければ、その分治療も出来ますし、単純に1mm→1cmに進行するだけの時間が得られるので、それだけ生存期間は長くなりますよね。
近年、診断の精度が上がってきたことで早期発見ができるようになり、がん全体の5年生存率は上がっています。
そして、膵臓がんの生存率が悪いもうひとつの理由は、効果的な治療法が確立されていないことです。
手術できた人の割合は約35%、手術できたとしても生存率は約22%です。膵臓がんには手術が有効とされているにもかかわらず、生存率は低い。
それだけ膵臓がんが転移・再発しやすい、抗がん剤など明確な効果のある治療法がない、手術自体がからだへの負担が大きいなどが分かります。
ただ、ここからは手術をしたから安心ではないことは読み取ることができますが、手術をしたから数値がよいのか、手術をしなかったら実はもっと数値がよくなるのかは判断はできません。
生存率で見ると悪く見えますが・・・
数字とは不思議で、「40%が生存」と「2.5人に1人が生存」は全く同じことを言っていますが、印象が違います。3人に1人くらい、5人なら2人も・・・それならいけるんじゃないかと感じますよね。
生存率から生存されている人数を計算してみると、案外多い印象を受けます。
もちろん発見時のステージが早いほど生存人数も多いですが、膵臓がんになっても4000人のうち300人以上が5年は生きていることになります。
そもそも膵臓がんは「5年」生存率を見る必要があるのか
膵臓がんは進行が早く、ステージによっては1年生存が分かれ目になることもあります。
最初から悪いとわかっている「5年」生存率を見ることに意味はあるでしょうか?
まずは「1年」を正確に捉えたほうがよいのではないか、進行の早いがんには5年生存率は無意味だ、という意見もあります。
たとえ5年生きても気をつけるべき「第二のがん」
第二のがんと呼ばれる、転移によらないがん(膵臓がんとは全く関係のない、別で発生するがんのこと)が発生する人が、毎年全がんからの生還者のうち7000人もいます。
がんは全身病とも言うので、膵臓がんはもちろんのこと、手術や抗がん剤で弱った体には他のがんが発生する可能性が高くなります。
「膵臓がんの生存率」だけを見ると第二のがんの存在は微塵もわかりませんが、統計の中には第二のがんの方もいらっしゃるでしょう。
がん患者さんは常に「第二のがん」には気をつけていただきたいです。
ちなみに、病院ごとの生存率について
病院ごとの生存率も、扱っている癌のステージの症例数を確認したほうがよいです。
ステージⅠの割合が多い病院では、生存率が高いのは当然。
ステージ、部位ごとの治療実績をよく見て、判断が必要です。
最後に
生存率はあくまでも参考です。
一人ひとり病状が違いますし、年齢・体質・がんの診断や治療の開始時期、臓器にとどまっている間に治療をはじめたかどうかなど、違いは数え始めればきりがありません。
余命宣告されても、それは統計上のただの予測です。実際それより長く生きる人はたくさんいます(母も長く生きました)し、余命宣告は短めに言うことが多かったりもするようで、統計に惑わされる必要はありません。
生存率、生存期間というのは、参考程度に考えるくらいがちょうどいい。
また、数値からも「早期発見が大切」ということがとてもよく分かります。
大切だけど初期症状がない、だからこそ、検査の有効性が今後上がってくることが、生存率の増えるカギでしょう。治療法の確立も必要ですが、まずは早期発見さえできれば、治療成績もよくなるはずです。
とにかく、がんになってしまったならば、数値に左右されずに「今」を幸せに楽しく生きる、それが一番だと思います。
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