看護師さんにインタビュー
知識のある方々にインタビューを行って、その情報をサイト上で共有したいと考えています。
そのために、以前からインタビューを実施していました。
そして、今回ようやく記事にまとめることができました。
第一回のインタビューは、看護師のTさんにお願いしました。
質問は、以下の内容になります。
- 終末期の患者さんはどんな様子か(病状、心境)、パターンとそれぞれの割合は
- 患者さんは、なにが辛かった(辛そう)か、なにに困っていたか
- 患者さん自身で解決していたか、またはあなたはどう解決したか
- 便利なもの、便利な方法、便利なサービスはなにか知っているか
- その他
この質問をベースに、色々なお話を聞いてきました。
インタビュー
聞き手:yuki
書記:rino
今日はよろしくお願いします。
質問1.終末期の患者さんはどんな様子か(病状、心境)、パターンとそれぞれの割合は
5年間、全科受け入れる病棟で働いていました。
現在は、脳卒中の集中治療室に勤務しています。なので、今は急性期の患者さんを診ることが多いですね。
今日は、たぶん5年間働いていた病棟でのお話ができると思います。終末期の患者さんも診てきたので。
ありがとうございます。
それでは、質問に移っていきたいと思います。
質問1.終末期の患者さんはどんな様子か(病状、心境)、パターンとそれぞれの割合は?
終末期の患者さんは、お家に帰りたいとおっしゃる方が多いですね。
お家に帰った方がQOLが保てるときは、私たち看護師は家に帰れるように尽くしています。
ただ時間との勝負でもあります。
進行する前に、家で過ごせるように必要なことを補ったり、教えることをしています。
ご家族には、吸引手技(補足参照)やおむつ交換についてお教えしています。
また地元の看護師やケアマネに引き継ぎをして、サポート力を補います。
それらを短い時間で整えなければなりません。
吸引手技とは、「痰や唾液、鼻汁などを自分の力だけでは十分に出せない場合に、器械を使って出す手伝いをすることです。」(引用:独立行政法人 国立長寿医療研究センター)
器械を使って行います。(下の写真参照)
その場合は、病院で出来ることを最大限します。
身の回りの看護、痛みの調整、家族との最期の時間を有意義なものにするために落ち着ける環境づくりなどをします。
環境づくりは、お元気な頃に好きだった音楽や趣味のものを取り入れてしていきます。
やはり医者は治療や病状の把握に役割があるので、看護師の方が本人や家族と関わってその方の人間性というんですかね・・・そういったものをひろっていきます。
他にも痛みの軽減のために、医師の了解も得ながらアロママッサージを行ったりします。
私がいた病棟では、資格を持っている看護師がいて、体に痛みが出た患者さんの手足をマッサージしたり、お部屋にアロマを焚いたりしていました。
気持ち悪さを緩和するアロマを推進している方もいますね。
アロマに関しては、嫌と言う人はほとんどいないです。
質問1のまとめ
- 終末期の患者さんの多くは、自宅へ帰りたい。時間との勝負。
- 病院で最期を迎える方には、看護師が出来ることを最大限する。
- アロママッサージには、ゆっくり休める効果や気持ち悪さを軽減する効果が見込まれる。
質問2.患者さんは、なにが辛かった(辛そう)か、なにに困っていたか
患者さんは、なにが辛かった(辛そう)か、なにに困っていましたか?
終末期になると、むくみも出てきて、呼吸も苦しくなってきます。
痛みについては、痛み止めを使って、最期の方は眠らせるようなボーとさせるような段階もあります。
でも呼吸が苦しいのは、なかなか取り切れないので、患者さんも呼吸の苦しさの方が痛みよりも死を意識するようです。
なので、むくみが出て腹水や胸水が溜まって息が苦しそうなのが、私たちには一番辛そうに見えます。
例えば、患者さんとご家族の意見が合わなくて辛かったり・・・とか。
ご家族によっては本人に告知をしないこともあります。
告知はご家族にゆだねるのですが、患者本人としては「なんでこんなに痛いの?辛いの?」という感じで辛そうですね。
ただ終末期になると、自分が長くないというのは患者さんが一番分かっているので、発言だったり行動だったりが変わってきます。
「あれがしたい」や「これがしたい」といったような形で、伝えていなくても患者さんが自分で準備を始めます。
告知の問題は大きいとは思います。
それ以外の心理面だと、若い方の心残りは辛そうでした。
私の勤めていた病棟では、ご高齢の方が多かったのですが、ご高齢の方は比較的心の準備ができているんですよね。
でも若い方の場合は、「これがやりたかった」「あれがやりたかった」という風に心残りがありますね。
なので、私たちは納得するまでお手伝いさせてもらいます。
質問にあった家族と患者さんの思いや方向のズレというのは、あまりないかもしれないです。
家族が治療を続けて欲しいと思っても、患者さんがもうしたくないという場合は、最後は家族が合わせていると思います。
看護師は患者さんの発言や行動から、それぞれの過程に合わせて対応して状況整理を手伝います。
最終的に患者さんは、受容してどうしていきたいかを決めます。
質問2まとめ
- 痛みよりも呼吸できないことの方が、患者さんは死を意識する。
- 告知の問題は大きい。
- 若い方の方が心残りが強い。
- 人が病気を受容する過程があるが、その過程は人それぞれ。
質問3.患者さん自身で解決していたか、またはあなたはどう解決したか
「質問3.患者さん自身で解決していたか、またはあなたはどう解決したか」なのですが、例えば痛みが出ていたとしたら、どうやって患者さんは解決していましたか?またTさんはどのように解決してあげましたか?ということなのですが、何かありますか?
私たちは、患者さんが持っている力を最大限発揮できるように手伝います。
なので、アルブミンの点滴をしたり、栄養状態が回復するといいんですが、最期になってくると食べれなくなったり、点滴も使える量が限られていたりして難しいと思います。
あとは、足をお湯につけてマッサージして血行促進ですね。
ゆっくり時間をかけてやるといいですね。
家族が面会に来たときにやってあげたりするといいかもしれませんね。
ただ家族の関わり方も、家族形態によって違います。
例えば、がんこで全部を自分で決めるお父さんの場合は、奥さんはなかなか外からものを言えません。
そうすると、ケアにも入っていけないんですよね。
家族と患者の関係がグラグラだと、看護師もどうやって最期を悔いのないようにしてあげるか、どうサポートしていくかを考えなくてはいけません。
なので、患者さんと同じ方向を向いて一緒にがんばろうという家族だと、医療者もサポートしやすいと思います。
その専門家は、その家族がどういうあり方で、どこをサポートすれば治療決定やいい時間が過ごせるかというところにスポットを当てる看護師です。
うちの病棟には、一人だけだったので、色んなところから呼ばれて治療に関わっていました。
もしかしたら、うちが大きい病院だからかもしれませんが、結構何に対しても専門家がいますよ。
質問3まとめ
- 自立心が強い人は、自分で病気について調べる。
- 患者さんと同じ方向を向いて一緒にがんばろうという家族だと、医療者もサポートしやすい。
- 家族看護専門の看護師は、その家族がどういうあり方で、どこをサポートすれば治療決定やいい時間が過ごせるかというところにスポットを当てる看護師。
質問4.便利なもの、便利な方法、便利なサービスはなにか知っているか
便利なもの、便利な方法、便利なサービスはなにか知っていらっしゃいますか?
例えばなのですが、褥瘡(じょくそう)をケアする「介助グローブ」を緩和ケア病棟に行って、私たちは初めて知りました。
とても便利で褥瘡をケアするのにピッタリで驚いたのですが、そういった便利なものなどをご存じですか?
介助グローブについては、こちらの記事をご覧ください。
特に自立していた方だと、おむつを付けるタイミングもないので、抵抗もあると思います。
そういう方には、ポータブルトイレや差し込み便器(下の写真)がいいかもしれないですね。
家に戻られる方で、そういったものが必要な方には渡しています。
ただやっぱりお金もかかるので、介護保険を利用するといいと思います。
あとは、身の回りのもので代用してもいいですね。
例えば、点滴棒も家にあるもので代用してもいいし、トイレの後にお尻などを洗い流すボトルもわざわざ購入しないでペットボトルなどでもいいと思います。
ちょっと話は変わるのですが、サービスについてお伺いします。
自宅で闘病中に、何か相談したい時には、どこに連絡をしたらいいのでしょうか?
母も入ることができたのですが、タイミングを見極めるのが難しかったので。
しかし、緩和ケア病棟も順番待ちをしているうちに亡くなってしまう方も多いです。
それにしても、よく緩和ケア病棟にすぐ入れましたね。
緩和ケア病棟にいずれはお世話になるから、手続きを前もって行っておこうという母の意思のおかげだと思います。
本人がまだ話せる段階で、してほしい事、してほしくない事を決めておくといいと思います。
例えば、心臓マッサージのこと、病院の場所、最期の過ごし方。
緩和ケア病棟の準備も早めにしておくといいですね。
医療者に伝えておくのも大事です。
希望を伝えることで、医療者の対応が変わります。
やりたいことを前面に出して、医療者の力を借りていった方が、いい最期が迎えられると思います。
質問4まとめ
- おむつに抵抗がある方には、ポータブルトイレや差し込み便器がいいかもしれない。
- 介護福祉用品を借りたり購入するのは高いので、介護保険を使う。また身の回りのもので代用してもいい。
- 本人が話せる段階で意思の確認をする。
- 緩和ケア病棟の準備は早めに。
- やりたいことを前面に出して、医療者の力を借りていった方が、いい最期が迎えられる。
質問5.その他
またユニバーサルなデザインなのも、誰でも使えるという大前提があると思います。
でも、今度勤めている脳梗塞の急性期の病棟では、改装した時に先生の希望で木が描いてある壁紙にしました。
森林をイメージした病室になっています。
リラックスできる環境になるように工夫している病院はたくさんあると思いますよ。
今日はたくさん聞けて勉強になりました。
ありがとうございました。
質問5まとめ
- 病院の寝具などが白いのは、おそらく清潔感を出すため。
- ユニバーサルなデザインなのは、誰でも使えるように。
取材日:2015年8月14日
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