膵臓がんになると処方されることの多い下痢止め「アヘンチンキ」。便利な反面、吐き気など困ることも多いと思います。
そこで、アヘンチンキの効く仕組みと、母と一緒に試行錯誤して考えた「アヘンチンキを飲んでも気持ち悪くならない調整法」をご紹介します。
まずアヘンチンキとは
赤褐色の液体状の強力な下痢止め、痛み止めです。(咳も止まるそうです。)
麻薬であるアヘンを混合した水薬で、医師の処方箋がないと入手ができません。
膵臓がんの手術後に一般の下痢止め(フェロベリンやロペラミド)を使っても改善されない場合に用いられるようです。どのように下痢を抑えるかというと・・・
作用メカニズムは、消化管の運動と分泌をおさえ、肛門括約筋の緊張を高めることによります。反面、この作用は便秘の副作用に通じるものです。
このように腸管の蠕動(ぜんどう)運動を抑えます。
感覚的には胃や腸が固まった感じになり、全く動きません。
このように「麻薬」で「効果が強力」となると使うのが怖くなりがちですが、不安にならなくて大丈夫です。
正しく使い、自分の体に合った使い方に調整すれば、寝ているときや外出時も下痢に困ることがないので、これほど便利なものはありません。
飲むとどんな風になるのか、どうやって調整したらいいのか、母の例を参考にご紹介します。
飲んだ時の味
とにかく見た目が悪いアヘンチンキ。飲むのも勇気がいりますよね。
母が飲んだのは1:9の割合でシロップで薄められていたもので(当時の母との会話からの記憶なので違うかもしれませんが)、味はほぼシロップで、口に入れると甘いけれども後味がちょっと苦いくらいの味だったそうです。
つまり、そんなに飲みにくい感じではありませんでした。
使ったあとの様子
驚くほどピタッと下痢が止まります。
直前まで食後はトイレに直行しないといけなかったのがウソかと思うくらい、「ピタッ」です。
最初にも書いたとおり、腸管の動きを強制的に止めて肛門を締めるので、「下痢を止める」ことに関して信頼度はかなり高いです。お買い物の間だけは・寝ている間だけは・旅行のときだけは・・・といったように快適に過ごしたい時間に合わせて使うとかなり効果的です。
困った点
膵臓がんの術後ごはんを食べると、食べたものがすぐに便となって出ていってしまう(いわゆるダンピング)ので、ごはんを食べる前にアヘンチンキを服用しますよね。そうすると、腸の蠕動運動がなくなるので、胃までもが固まってムカムカすることがよく起きます。
横になっても前傾姿勢になっても、なにをしても改善せず、何時間も気持ち悪いことがあります。時には朝食べたものがそのまま胃に残っていて、昼頃戻してしまうなんてこともあります。
これも、飲むタイミング、量を調整することで避けることができます。
調整方法
母が最初に医師から指示されて飲んでいたのは、1日10ml×食前に3回でした。
ただこれだと吐き気が抑えられず、便秘になってしまって逆に便が出ずに苦しくなってしまいました。
医師や薬剤師の方に相談すると、飲むタイミングや量は自由に調整して大丈夫と確認が取れたので、そこで色々試して効果があった方法がまずこれです。
時間を調整する
ポイントは「いつ排便するか」を考えて飲むことです。
しっかり寝るためにも、夜寝る前に飲むのがおすすめです。アヘンチンキは大体早いと5~6時間(もっと早い時もある)、きちんと効いても8~9時間で切れてしまうので、朝方6~9時頃に排便するようにすると、お腹に便もたまらずスッキリして一日過ごせます。
おすすめのアヘンチンキを3回飲むタイミング
朝に一気に排便するタイプ
- 寝る前に飲むために全体的に後ろにずらします。朝飲まないで便を出し切り、昼12時頃飲みます。
- 効果が切れる前、17時頃に飲みます。
- 寝る前の22~23時頃に飲みます。
こうすると母の場合、夜中お腹がグルグル活動してトイレのために目が覚めることが減りました。朝に便を出し切っておくことで、お腹がパンパンの状態でごはんを食べるよりもお腹に物が入りやすく気持ち悪くなることもほぼ無くなりました。
午前中は排便が2~3回あるので、外で活動するのは午後に集中することになります。午前中に外に出なきゃ、というときは①の時間を前倒ししてくださいね。
明け方と夕食前に排便するタイプ
- 明け方排便した後、朝ごはん前7~9時に飲みます。
- 効果が切れる前、12~15時に飲みます。
- 夕方または夜に排便できるよう時間を空けて、21~22時頃飲みます。
この飲み方だと、朝に一気に排便するタイプよりも早い時間に朝目が覚めてトイレに行けます。午前中も排便がないので、夕方まで一日活動しやすくなります。
母の場合、この飲み方で朝ごはんの量が多いとたまに(嘔吐までいかないが)吐き気がありましたのでご注意いただきたいです。朝と昼の間に間食をはさんで少量ずつ食べると具合がいいようです。
量を調整する
毎回10mlでなくてもよくて、効きが強すぎると感じた場合には少なめにしてもOKです。
ただ母の場合、10ml×3回飲むところを5ml×6回にしてみたら全く効かず、この飲み方は1日でやめました。
これはご自分の感覚に合わせて調整されるのがよいと思います。
旅行のときのアヘンチンキ服用成功例
軽井沢へ旅行に行くことになり、美味しいごはんや温泉、早朝のバードウォッチングを楽しむことになりました。
もちろん美味しいごはんは吐き気を気にせず食べたいし、食べた後もスッキリしていたい。温泉やバードウォッチングも下痢になったら大変です。そこで実践して上手くいったタイミングがこちらです。(事前に決めていた内容だけ記述しています。)
1日目 | アヘンチンキ | 排便時間 |
10:00 新幹線で移動 18:00 夕飯 19:00 温泉 |
6:30 11:30 17:00少なめに |
14:00~17:00 |
朝から移動するので、アヘンチンキは早めの6:30服用です。夕飯が早い時間なので、3回目の服用は食後に気持ち悪くならないよう少なめにしています。
2日目 | アヘンチンキ | 排便時間 |
5:00 バードウォッチング ↓部屋でまったり 18:30 夕飯 |
3:30 8:00 17:00 |
14:00~17:00 |
早朝からのバードウォッチングではしっかり効いている状態にしておきたいため、早めの3:30に服用しています。この日も昼間に排便したいので、その時間を空けて服用しています。
3日目 | アヘンチンキ | 排便時間 |
5:00 バードウォッチング 7:30 朝食 18:00 新幹線で移動 |
4:00 10:00 16:30 |
夜 |
この日もバードウォッチングなので1回目の服用は早めです。移動時に困らないよう移動前に飲んでいます。
ぜひ旅行にいくなどの際には参考にしてみてくださいね。
最後に、きちんと記録をつけてくれていた母に感謝。
体調記録用紙を使いたい方は「体調管理用の記録用紙」からダウンロードをお願いします。
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