膵臓がん末期の母が寝返りも打てず、完全に動けなくなったのは亡くなる3日前でした。
夜中に手以外は一切動かせなくなり、その日のうちに褥瘡(床ずれ)が出来てしまいました。
それ以前も脂肪がなくなって骨がでっぱっていたため、寝ている間に体が痛くなることが多く、どうやってケアしてあげたらいいかを知っていれば、もっと楽になったかもしれません。
そこで今回は、その後母が緩和ケアに入院したときに知った褥瘡のケアの方法をご紹介します!
褥瘡(じょくそう)とは
いわゆる「床ずれ」のことで、寝たきりなどでからだの一部が圧迫され続けることによって血流が悪くなってしまい、その部分の組織が壊死してしまうことを言います。
褥瘡が起こると怖い合併症
はじめは皮膚が赤くなり、放置すると水ぶくれや膿ができてしまいます。さらに進行すると、褥瘡から体液が漏れ出て「低蛋白(たんぱく)血症」という水やタンパク質が失われる症状が出てしまいます。
そして、皮膚組織が壊死すると細菌感染が起きる可能性が高くなります。
褥瘡の傷が深ければ、骨から感染して骨髄炎、血管に感染すれば敗血症となり、全身状態が悪化したり最悪の場合は死亡してしまうこともあります。
褥瘡は放置は禁物、発生したら悪化しないようケアが大切です。
褥瘡が発生する原因は4つ
大別すると2パターンです。①②の圧迫、③④の皮膚組織が弱くなることで褥瘡が発生します。
- 寝返りが打てない、感覚がマヒしていて特定の部位が圧迫される
- 脂肪が少なくなり、骨のでっぱりが当たることで圧迫される
- シーツ交換や電動ベッドで皮膚がこすれたり、皮膚が汗などで湿って皮膚組織が弱くなる
- 栄養状態が悪かったり、血圧が低いと、傷の治りが遅かったり血行障害が起こることで皮膚組織が弱くなる
膵臓がんの末期になると、起きたくても起きられなくなってきます。脂肪も少ないため、特にお尻の仙骨(尾てい骨)部分はベッドに当たり続けて褥瘡になりやすいので要注意です。
簡単な床ずれのケア方法
褥瘡はできないのがもちろんよいですが、できてしまったときの対処法を知っておけばすぐに対応ができます。
介助グローブで圧抜き
一番のおすすめはこれ「介助グローブ」です。緩和ケア病棟では各部屋にこれが備え付けられていました。
素材はツルツルとしたレインコートのような素材で、ベッドと患者さんの体の隙間に手を入れると滑るように入っていきます。これをすると、一点に集中していた体重の圧が分散されて楽になります。
▼背抜きや腰抜き、足抜きといった基本的な使い方はこちらの図を見てみてください。
コツは、患者さんの体をこするのではなく、ベッドのほうにグッと力を入れてベッドに沿うように動かすことです。
患者さんは皮膚がすれると痛くなったりするので、ベッドを押して隙間を作ることで手がうまく滑り込むようになります。
母の場合、仙骨のところに褥瘡ができてしまったので、介助グローブをつけ、片手で背中側から仙骨まわりのベッドを押して空間をつくり、もう一方の手は足の間から仙骨に向けて入れて、手のひらで仙骨を覆ってあげると痛みが無くなって楽だと言っていました。
ぜひやってみていただきたいです。
介助グローブで調べると何個か出てきますが、ヒジくらいまで隠れる長さのほうが滑りやすく引っかかりにくいのでおすすめです。(手がグローブの中で滑って抜けてしまうこともあるようです。そんなときはグローブに輪ゴムをつけるといいようです)
▼Amazonで買える長めのものをピックアップしてみました。
スライディングシートを使って体位変換・上方移動
母が緩和ケア病棟に入院したときも、寝返りが打てないので頻繁に体位変更をしてもらっていましたが、脱力した人を動かすのは大変で、看護師さん2人がかりでした。
家にいる間はどうするの?という時に使えるのが「スライディングシート」です。
筒状になっているタイプと一枚布タイプがあります。筒状だとキャタピラーのような感じで滑るように簡単に移動ができます。
特に電動ベッドを使っていると、体がくの字になっているときにどんどん下に体が下がってきてしまいますが、上に持ち上げるのは大変です。
また、素人だと横に向かせるだけでも一苦労ですよね。
時間がかかったり無理な力が加わると患者さんもつらいので、使えるものは使ってしまいましょう。
▼一枚布タイプの使い方を参考に載せておきますね。
▼こちらもAmazonから買えるものをピックアップしてみました。(左二つが筒状、右二つが一枚布タイプです)
タオルとクッションで対策
これはとっても簡単にできます。
患者さんが「痛くない」というところに折りたたんだフェイスタオルやクッションを入れます。
片方の脇腹に入れれば体が少し斜めになりますし、膝の下にクッションを入れればお尻の圧がかかっている位置が変わります。
顔まわりに置くと頭が固定されて楽みたいです。(母談)
ぜひ試してみてくださいね。
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