まず緩和ケアとは
緩和ケアについては、こちらに詳しく載せています。
簡単にまとめると、緩和ケアとは、患者さんやご家族のつらさを楽にして、生活の質を上げてくれる治療のことを言います。
決して終末期だけに行われる治療ではありません。
緩和ケアは、患者さんが苦痛(身体的、精神的、社会的苦痛、スピリチュアルペイン)を感じた時に行う治療なので、診断した時から必要に応じて受けます。
また緩和ケアは、医師、看護師、薬剤師、栄養士などからなる緩和ケアチームが行います。
身体的に痛みが出た時には薬剤師が薬を出してくれたり、精神的に落ち込んでしまったら臨床心理士が話を聞いてくれたり、就労の問題を抱えているならソーシャルワーカーが相談に乗ったりします。
そして緩和ケアを受ける方法は、4つあります。
- 緩和ケアチームのいるがん診療連携拠点病院を受診する
- 緩和ケア外来を受診する
- 緩和ケア病棟に入院する
- 自宅で緩和ケアをする
抗がん剤など根治に向けた治療もしながら緩和ケアをしたい場合は、①、②、④を選びましょう。
今回は3番目の「緩和ケア病棟に入院する」場合についてご紹介します。
緩和ケア病棟ってどんな所?
今回は緩和ケア病棟に入院することについてお話する前に、「緩和ケア病棟ってどんな所?」という疑問がある方は以下のリンクをご覧になってください。
緩和ケア病棟に入院する手順
緩和ケアや緩和ケア病棟について分かっていただけたところで、緩和ケア病棟に入院するための手順をご紹介していきたいと思います。
ひとつ注意していただきたいのは、あくまで一般的な例なので、緩和ケア病棟によっては手続きが異なる場合もあります。
参考としてご覧いただければと思います。
大まかな流れとしては、以下のような形です。
この手順を踏んでいくのですが、実は入院に至るまでには結構時間がかかります。
緩和ケア病棟により違うので、一概には言えないのですが、大体1か月ほどかかります。
なので、主治医の先生から緩和ケアの話が出たら、早めに緩和ケア病棟について考えるべきだと思います。
ここからは、それぞれの項目を詳しく見ていこうと思います。
緩和ケア外来受診の予約をする
入院の1段階目として、緩和ケア病棟に入院を希望される患者さんには、まず緩和ケア外来を受診してもらうことが多いようです。
普段通っている病院によって、緩和ケア外来の受診方法が違うので、ケースごとに見ていきましょう。
緩和ケア病棟がある病院
もし今通っている病院に緩和ケア病棟があり、またその病棟に入院したい場合は、主治医に相談しましょう。
主治医が緩和ケアが必要と診断した場合、病院内にある緩和ケア外来の受診予約の案内があると思うので、その案内に従って予約をしましょう。
緩和ケア病棟がない病院
もしも今通っている病院に緩和ケア病棟がない場合は、まず緩和ケア病棟を探しましょう。
緩和ケア病棟のある病院を探す場合は以下のリンクからどうぞ。
入院したい緩和ケア病棟を見つけたら、その病棟に入院するための手続きを確認してください。
多くの緩和ケア病棟のある病院では、「緩和ケア外来受診の予約をしてください」と案内があると思います。(病院により手続きが違うので、要確認。)
緩和ケア病棟を探すときのアドバイスです。
もし患者さんが入院すると、家族も緩和ケア病棟に行くことが多くなると思うので、自宅から近い所がいいと思います。
緩和ケア病棟の見学は、緩和ケア外来受診時に行うか、入院が決定した方のみにしか行わない所が多いです。
しかし、見学はできなくても、ほとんどの緩和ケア病棟のHPには写真が掲載されています。
そちらを参考にして探すといいと思います。
まれなケースかもしれませんが、「緩和ケア外来に通院しながら自宅療養し、病状が悪化した時に緩和ケア病棟への入院を考えている。」
という方は、緩和ケア外来と緩和ケア病棟は同じ病院であった方がいいと考えます。
緩和ケアを受けるにあたり、患者さん専用の緩和ケアチームが結成されます。
そのチーム内で情報が共有されながら、治療が進んでいきますので、同じ病院内であった方が情報共有が素早く行われる利点があります。
このようなことを参考に緩和ケア病棟を探してみてください。
予約にあたり、緩和ケア外来受診の予約を自分でする場合と、今通っている病院からしてもらう場合の2パターンあります。
緩和ケア外来を自分で予約する場合
緩和ケア外来受診の予約を自身で行う場合は、電話、HP、病院へ直接行く、資料請求などの方法があります。
いずれの場合も緩和ケア外来を予約するための案内があると思うので、それに従ってください。
今通っている病院から予約してもらう場合
もうひとつのパターンである今通っている病院から予約してもらう場合は、まず主治医に自分が行きたい緩和ケア病棟の話をしてください。
その後、主治医(今通っている病院)から緩和ケア病棟の方へ連絡してもらいます。
あとは、今通っている病院の主治医等の案内に従ってください。
緩和ケア外来を受診する
事前に決まっている予約日に緩和ケア外来を受診してください。
受診の際に、病状を理解している家族の同伴を求める緩和ケア外来もあります。
また患者さん本人が来院できない場合に、家族の代理受診を受け付けている所もあります。
家族または代理人だけでの受診の場合、保険適用にならない所もあるので、よく確認しましょう。
受診する時に忘れてはならないのが、必要書類などです。
以下は受診時の持ち物です。(病院によって違うので要確認。)
- 診療情報提供書
- 検査結果・画像など
- 日常生活状況(ADL表)
- 緩和ケア病棟入院相談書(主治医記入用)
- 緩和ケア病棟入院相談書(患者さま記入用)
- 印鑑
- 健康保険証
1~4までは、主治医の先生に記入してもらいましょう。
5~7は患者さんで用意します。
元々通っていた病院の緩和ケア病棟に入院希望の場合は、緩和ケア外来受診時に病院側で1~4の書類は用意してあるかもしれませんので、ご自身で持参する必要がない可能性があります。
この緩和ケア外来受診時に、緩和ケア病棟の見学を受け付けている病院が多いです。
せっかくなので、患者さんだけでなく家族も一緒に行って見ておくといいと思います。
ただ患者さんも歩くことになるので、歩くのが辛い場合には車イスなどを借りるといいでしょう。
入棟判定会議(入棟審査)
外来受診時の面談と書類をもとに、医師・看護師・医療スタッフなどで構成された会議を行い、入院する必要があるか総合的に判断します。
それが、入棟判断会議です。
判断結果は、直接患者さんやご家族に連絡があるか、主治医の先生を通じて連絡があります。
予約リストに掲載
入棟判断会議で、入院の必要性があると判断された時には、予約リストに掲載されます。
リストへの掲載される順番は、病院によっては患者さんの状態を考慮して決定してくれるところもあるようです。
予約リストに掲載されたものの、まだ入院が必要でない場合やまだ希望しない場合は、書類のみの登録ということもできます。
書類登録のみの状態の場合は、緩和ケア病棟の病床に空きが出ても連絡はきません。
入院を希望する時になったら、病院へ連絡をすると、緩和ケア病棟の入院待機の状態に変更できます。
すると、緩和ケア病棟に空きが出ると連絡がきて、入院することができます。
待機
緩和ケア病棟の病床に空きが出るまでは、待機となります。
その間は、主治医や訪問医などの指示に従いましょう。
電話連絡
緩和ケア病棟の病床に空きが出ると、予約リストの掲載順に電話連絡があります。
その際に、入院希望でない人の順番は飛ばされます。
電話連絡をもらった時に、まだ入院が必要でない場合は入院を保留にしておくこともできます。
病院によっては、入院保留にした場合、書類登録(入院希望ではない状態)になってしまうことがあります。
入院が必要になった時には、忘れずに入院希望の状態へ戻してもらうように連絡をしましょう!
入院については、主治医や緩和ケア病棟の担当の方とよく相談をした上で決めてください。
待機中に病状が悪化した場合
もしも電話連絡を待っている状態の時に、病状が悪化した場合の対応ですが、緩和ケア病棟によって異なります。
その時に緩和ケア病棟に空きがあれば、入院できるかもしれないので、まずは緩和ケア病棟に連絡してみましょう。
空きがない場合は、ひとまず一般病棟に入院させてくれる緩和ケア病棟もあるようです。
緊急入院を全く受け付けていない緩和ケア病棟もありますので、ご注意ください。
その場合には、元々通っている病院に一時的に入院することになると思います。
緩和ケア病棟に空きが出次第の入院になると思います。
病状が悪化する前の入院をおすすめします
以上が緩和ケア病棟に入院するまでの流れになります。
改めて最初の図を見ていただくとより分かるかと思います。
私がおすすめしたいのは、病状が悪くなる前の入院です。
やはり病状が急に悪化したからといって、いきなり緊急入院はなかなか難しいです。
事前に入院しておけば、緩和ケア病棟の雰囲気も分かります。
また患者さん自身も、どのような状態になったら入院すべきなのかを肌で感じ取れると思います。
今回ご紹介した緩和ケア病棟に入院するまでの手順は、あくまで一例です。
全ての緩和ケア病棟が、説明した通りでないことをご了承ください。
しかし、これが患者さんやご家族の参考になってくれれば幸いです。
参考資料
がん診療について 緩和ケア病棟について 日本赤十字社 伊勢赤十字病院
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