6月6日に英科学誌ネイチャー電子版に掲載され、7日に朝日新聞デジタルに載っていた記事をご紹介します。
膵臓がんの増殖・抑制に大きく関わる遺伝子が判明
慶應大と米カリフォルニア大サンディエゴ校の共同研究グループが、膵臓がんが増殖するときに信号を送るとされる遺伝子が「MUSASHI」という遺伝子だということを、幹細胞からの信号を見えやすく開発したマウスの実験により発見しました。
「MUSASHI」は
他の遺伝子の働きを調節し、幹細胞では、増殖する時に重要な役割を果たすことが知られている。この遺伝子が過剰に働くと、脳腫瘍(しゅよう)などの発がんにつながることが指摘されてきた。
グループは、膵臓がんでこの遺伝子が過剰に働いていることをマウスの実験で確認し、抗がん剤の耐性にかかわっていることも見いだした。ヒトの膵臓がん細胞を移植したマウスで、この遺伝子の働きを止めると、がんの増殖を抑えられることも確認した。
引用元:膵臓がん、増殖抑えるカギは遺伝子「ムサシ」 慶大など | 朝日新聞デジタル
「MUSASHI」遺伝子の働きを止めると、がんの増殖が止まる!
これは進行の早い膵臓がんには重要な内容です。
以上のように、MUSASHI遺伝子は膵臓がんの増殖に関与しており、抗がん剤の効き具合(おそらく、MUSASHI遺伝子が過剰に働いている場合、抗がん剤が効きにくい)にも深く関わっているようです。
MUSASHIとは
MUSASHIという遺伝子(タンパク質)は、神経幹細胞が分裂または発生する際に、どのように分裂するか(分裂するか・しないか)指示を出す役割があるようです。
MUSASHI遺伝子に異常がある場合、神経細胞(神経幹細胞)が作られないため、MUSASHIの有無を調べれば神経細胞があるかどうかがわかるそう。
最初は1990年代、今から約20年程前にショウジョウバエの遺伝子として発見されました。
その後、マウスや成人したヒトの神経細胞にも存在することが明らかになり、今回の発見につながりました。
Musashi蛋白質は、血液系だけでなく、消化器系、乳腺などの癌細胞発生・増殖に関与していることが明らかとなってきています(Sureban et al., Gastroenterology, 2008; Wang et al., Mol. Cancer, 2011)。
詳しくは、発見者である慶応大学(医学部生理学教室)の岡野栄之(ひでゆき)教授が下記のページで詳しく紹介してくれています。※名前の由来も載ってます!
MUSASHIに焦点を当てた抗がん剤が開発されれば、進行の早い膵臓がんの増殖を止めることができ、さらには他の治療と合わせて難治性がんと言われている膵臓がんが治る、なんて未来もありそうです。
これから臨床試験などの道のりは長いですが、今後の開発に期待したいですね。
参考サイト
英科学誌ネイチャー電子版
「Image-based detection and targeting of therapy resistance in pancreatic adenocarcinoma」
(閲覧には定期購読・ログインが必要なサイトです)
朝日新聞デジタル
「膵臓がん、増殖抑えるカギは遺伝子「ムサシ」 慶大など」
中高生と”いのちの不思議”を考える―生命科学DOKIDOKI研究室
フクロウ博士の森の教室「からだを復元させる医療の話」
慶應義塾大学医学部生理学教室内 Musashiグループ
岡野研blog
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