膵臓がん治療の流れ
母が膵臓がんになってよく分からなかったことのひとつが
「母はこれからどういう治療をしていくのか?」
ということでした。
つまり、膵臓がんの治療の流れが分かりませんでした。
そこで当時の私は、膵臓がんのフローチャートを作りました。
今回は、そのフローチャートの改良版をお届けしたいと思います。
上にあるのが、フローチャート、つまり膵臓がん治療の流れです。
ここからは順番に詳しく見ていきましょう。
① 外科手術
膵臓がんの完治が期待できる方法は、手術と言われています。
外科手術を行えるのは、ステージI、Ⅱ、Ⅲと一部のステージⅣaの患者さんです。
ステージⅣa、Ⅳbの患者さんに、外科手術は通常行いません。
理由としては、ステージⅣa、Ⅳbの患者さんはがんが全身に転移している可能性があるので、局所治療である手術よりも全身治療の化学治療(抗がん剤治療)の方が向いているからです。
その理由に加え、負担の大きい膵臓がんの手術をすることで、ステージⅣaやⅣbの場合はかえって命を短くしてしまいます。
ステージの分類はこちらをご参照ください。
見方としては、例えば、他の臓器へ転移していたら(遠隔転移でM1)、ステージⅣbとなります。
腫瘍の大きさが2㎝以上でも、まだ膵臓の外側へ浸潤して(染み出て)いない(T2)、そしてリンパ節への転移もなければ(N0)、ステージⅡ・・・といった具合です。
▼手術に関する記事はこちらをどうぞ
外科手術をする場合 → ② 補助療法へ
外科手術をしない場合 → ④ 化学療法(化学放射線療法)へ
② 補助療法
外科手術のあとには化学療法(+まれに放射線治療)を再発・転移予防のために行います。
これを補助療法と呼びます。
補助療法を術後にやる目的は、手術のあと体内に残っている目に見えないがん細胞を無くすためです。
そうやってがん細胞の芽を摘み取り、再発と転移を防ぎます。
手術を受けた方が使う抗がん剤については、▼以下の記事をご覧ください。
補助療法を受け再発した場合 → ③ 再発
補助療法を受け再発しなかった場合 → ⑧ 寛解
③ 再発
補助療法を受けてがんが再発した場合、化学療法や放射線療法による治療をすると思います。
外科手術になることもあるかと思いますが、まれです。
再発とは、別の場所に同じがんが出現することをいいます。
出現理由は以下のようなことが考えられます。
・手術で取りきれていなかった目に見えない小さながんが残っていて再び現れる。
・薬物療法(抗がん剤治療)や放射線治療でいったん縮小したがんが再び大きくなる。
また治療した場所の近くの再発だけでなく、別の場所で「転移」としてがんが見つかること も含めて再発といいます。
転移とは、がん細胞が最初に発生した場所から、がん細胞が血液やリンパ液の流れに乗って別の臓器や器官へ移動し、そこで増えることをいいます。
化学療法(化学放射線療法)を受ける場合 → ④ 化学療法(化学放射線療法)
(外科手術を受ける場合 → ① 外科手術)
④ 化学療法(化学放射線療法)
がんの転移・再発があった場合、化学療法として抗がん剤が使われます。
抗がん剤は血液などに乗って全身に運ばれ、体の中のがん細胞に働きます。
がんの種類、大きさ、部位などにより抗がん剤だけで治療を行うこともありますし、もしくは放射線と組み合わせて行うこともあります。
▼転移・再発して「切除不能な膵臓がん」に使用する抗がん剤については、以下の記事をご覧ください。
▼放射線治療については、こちらの記事をどうぞ
化学療法を受けてがんが縮小した場合 → ⑤ 縮小
化学療法を受けてがんが縮小しなかった場合 → ⑥高度先進医療
⑤ 縮小
治療を受けてがんが小さくなった場合、化学療法、放射線療法、外科手術のいずれかを受けます。
膵臓がんの場合は、手術が完治を期待できる方法なので、手術を検討するかもしれません。
転移(膵臓以外のところにがんができていた)場合は、その部位や大きさなどによって治療法は変わってきます。
縮小して膵臓がんの外科手術をする場合 → ① 外科手術
縮小して続けて化学療法を受ける場合 → ④ 化学療法(化学放射線療法)
⑥高度先進医療
近年では新しい放射線治療がいくつかの施設で受けられるようになりました。
その放射線治療が、粒子線と言われる治療です。
粒子線は高度先進医療として受けることができます。
ただし、現時点(2016年5月)では自己負担が約300万円位かかります。
またがんの状態によっては非常に効果が得られる場合もありますが、効果が得られにくいものもあり、万能ではありません。
受ける場合には、主治医の先生を含め十分に検討するのが望ましいです。
▼重粒子線治療についてはこちらの記事をどうぞ
がんが縮小した場合 → ⑤ 縮小
がんが縮小しなかった場合 → ⑦治験
⑦ 治験
治験、つまり新薬の臨床試験に参加することもできます。
治験で行われている治療法は、今後人間を対象とした臨床試験の結果から、標準治療(外科手術、化学療法、放射線療法)に加わる可能性のある治療法です。
よって、まだ科学的・医学的エビデンス(根拠)が十分ではありません。
その点を踏まえた上で治験には参加してほしいと思います。
▼以下のサイトで膵臓がんの治験を簡単に探せます。
がん情報サービス:がんの臨床試験を探す
▼↑のサイトの使い方などをこちらの記事にまとめています。
⑧ 寛解
寛解とは、一時的あるいは永続的に、がん(腫瘍)が縮小または消失している状態のことです。
寛解に至っても、がん細胞が再びふえ始めたり、残っていたがん細胞が別の部位に転移したりする可能性があるため、寛解の状態が続くようにさらに治療を継続することもあります。
以上が簡単ではありますが、膵臓がん治療の一連の流れです。
病院で治療する以外にもやれることはあります。
以下の記事は自分で出来ることなので、ぜひ試してみてください!
暖めて免疫力をアップ!
がんに効果のあるかもしれないマヌカハニーを試してみるのもいいかもしれません。
この記事で参照したサイト:おなかのがん ~最新の治療~ 膵臓がんに立ち向かうために 日本消化器病学会
はじめてコメントさせていただきます。とても参考になる素晴らしいサイトに出逢えて感謝しています。同じ患者さんのプログで知り活用させていただいてます。私の主人が51歳の若さでステージ4bの状況で8ヶ月目の闘病です。仕事にも行き、普通通りの生活をしているにもかかわらず、都内の某大学病院の主治医は緩和ケアを考えるように言われました。アブジェムの治療に移行してまだ2回しか打ってないのに↘️ どう思われますか⁇ ご意見を聞きたくコメントさせていただきました。もし、よろしければご意見をお聞かせください。
モリ アヤ様
はじめまして、コメントありがとうございます。モリ様もご主人も、本当に頑張っていらっしゃるのですね。
緩和ケアを勧められたということについて私たちの考えを述べさせてもらいますね。
まず緩和ケアが勧められた理由として考えられるのは、
①「主治医が治療を投げ出したから提案した」のではなく、「強い痛みが出てきて家にいるのが辛くなった時のために保険として早めに提案した」のだろうと考えます。というのも、緩和ケアの手続きは申請から1ヶ月程かかるので、いざ!という時にすぐ利用できるように手続きは早いに越したことはないのですね。(申請が通ってすぐに緩和ケアへ入らなければならないわけでなく、部屋が空いたら連絡がくるので「まだ大丈夫です」と伝えれば入院は保留できるんです。)なので、今アブジェムの治療をされていて、まだ2回目でしたら効果が出てくるのは少し先かもしれません。効果が出れば緩和ケアは必要ありませんし、もちろんご主人が普段通り仕事をして普通に生活できているなら使う必要はありません。ただ母の経験から考えますと、たった1ヶ月でも病状は少しずつ変化する(最後の1週間は急変と言える程でした)ので、闘病期間やステージを踏まえると提案は妥当でしょう。(当時の母よりも断然元気そうなので、余命1ヶ月というときに緩和ケアを提案され2ヶ月生きましたが、ご主人はもっと長そうですし、治療の効果があれば心配無用でしょう!)
また考えられる別の理由としては、
②「その病院で」出来る治療の選択肢が残り少ないという可能性でしょうか。病院は「治す」ための治療をしますが、選択肢が無くなった場合それが難しくなります。だから治すのではなく「不快な痛みを緩和」して、痛みを気にせず気持ちよく生きられる緩和ケアを勧めることになっているのでしょう。
つまり、「緩和ケアを勧められた」=「すぐに最期だ」ということではないと思いますので、そこは安心していただきたいです。
お聞きしたい内容を答えられていなかったらまた突っ込んでください。ぜひサイト活用してくださいね:)