「オプジーボ」を詳しく解説すると
期待されている理由
免疫療法はいままで統計学的に有意な差が出ていなかったので、一部効果があるという報告もありますが、いまいち信用ができませんでした。
ですがオプジーボの登場により、この方法であれば効果に科学的な根拠があり、顕著な生存期間の延長効果が見られることでしっかりとした治療法として期待されています。
2016年5月24日、米ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、抗PD-1抗体オプジーボが、 進行期非小細胞肺がんに関する2つの臨床試験(CheckMate-057、CheckMate-017)の2年生存データで、全生存期間(OS)の改善 を確認したと発表しました。
出典:非小細胞肺がん 免疫チェックポイント阻害剤オプジーボ 2年生存期間においても有効性を示唆 | がんとひとをつなぐオンコロ
そして期待される要因は、
何より「抗がん剤と比べると副作用が少ないこと」が挙げられます。
もちろん重篤な副作用(後述します)が起こる可能性もありますが、自己の免疫機能を使っているため、正常細胞を攻撃してしまう抗がん剤に比べると少ないんですね。
オプジーボの効く仕組み
免疫チェックポイント阻害剤は、オプジーボ(抗PD-1抗体)も合わせて現在3種類あります。今回は①について解説します。
- 抗PD-1抗体
(ニボルマブ、ペムブロリズマブ) - 抗CTLA-4抗体
(イピリムマブ) - 抗PD-L1抗体
①と②の併用療法に効果が出ていると報告があります。
小野薬品によると、オプジーボは下記の仕組みということですが・・・これだと流石にわかりづらいので説明します。
オプジーボ(一般名:ニボルマブ(遺伝子組換え))は、ヒトPD-1に対するヒト型IgG4モノクローナル抗体です。オプジーボは、PD-1とPD-1 リガンド(PD-L1およびPD-L2)との結合を阻害することで、がん細胞により不応答となっていた抗原特異的T細胞を回復・活性化させ、抗腫瘍効果を 示します。
今回のオプジーボは、
免疫細胞である「抗原特異的T細胞(CTL、キラーT細胞ともいう)」に作用します。
このキラーT細胞は、免疫のなかでどのような役割をしているのか。
そもそも免疫機能とは、「自然免疫」「獲得免疫」の二段階の仕組みになっています。
自然免疫は、体のなかをパトロールして異物全般を最初に攻撃します。
●マクロファージ、NK細胞・・・異物を食べたり攻撃したりする
●樹状細胞・・・異物の目印となる「抗原の情報」を獲得免疫の役割をする細胞に伝える
一方、獲得免疫は、自然免疫から異物の情報を受け取って記憶し、同じ異物が現れたときに攻撃します。
●キラーT細胞・・・通称CTL、異物を攻撃する
●B細胞・・・抗体を作って攻撃する
●ヘルパーT細胞・・・キラーT細胞やマクロファージを活性化したり、B細胞に指示して抗体を作らせたりする
この獲得免疫の「キラーT細胞」にやすやすとやられないのが、がん細胞。
PD-L1という物質をがん細胞が発現すると、キラーT細胞にあるPD-1と結合してしまい、キラーT細胞の攻撃を抑制してしまいます。
そこでオプジーボの出番です。
キラーT細胞にあるPD-1の受容体にオプジーボが先に結合しておくと、がん細胞のPD-L1は結合することができないので、攻撃抑制シグナルも送れず免疫機能がはたらく、という仕組みです。
もちろん、すでに結合してしまっているPD-1とPD-L1も、引き離してオプジーボとPD-1が結合するようです。すごい。
▼これを小野薬品が映像にしてくれているので、見るとわかりやすいです。
つまり、腫瘍(がん)にPD-L1というタンパク質が発現しているほど、効果があるということらしいです。(発現しない種類のがんもあるということでしょうか。)
「PD」とは「プログラム・デス(死)」のことで、「オプジーボ」の名前の由来は、PD-1 ⇒ PD1 ⇒ OPD1VO ⇒ オプジーボ(nivolumabからももじってるのかな?)らしい。
世界、日本での承認状況
日本では、根治切除不能な皮膚がん(メラノーマ、悪性黒色腫)、切除不能な進行・再発の肺がん(非小細胞肺癌)、腎細胞がん、悪性リンパ腫の5つで保険適用となっています。
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社と小野薬品工業は2016年4月8日、欧州委員会が抗PD-1抗体オプジーボ(一般名:ニボルマブ)の 単剤療法について、治療歴を有する成人の進行期腎細胞がんの治療薬として適応追加を承認したと発表しました。今回の承認により、欧州連合加盟の全28カ国 で腎がんの適応症が追加されます。米国ではすでに承認済みです。
出典:FDAが抗PD-1抗体と抗CTLA-4抗体の併用療法を承認 | 湘南メディカルクリニック
オプジーボは今後、胃がんや膀胱がん、脳腫瘍(膠芽腫)、卵巣がん、胆道がんなどへの適応拡大が世界的に見込まれています。
アメリカでは、(フルオロピリミジン、オキサリプラチンおよびイリノテカンによる治療後に病勢進行したMSI-H またはdMMRの)転移性大腸がんの治療薬として承認されたとのこと。(2017年8月1日)
日本では、小野薬品工業株式会社が2014年9月に根治切除不能な悪性黒色腫の治療薬として発売しました。その後、2015年12月に切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん、2016年8月に根治切除不能または転移性の腎細胞がん、2016年12月に再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫、および2017年3月には再発又は遠隔転移を有する頭頸部がんに対する承認を取得しました。また、胃がんについても承認申請しており、食道がん、胃食道接合部がん、小細胞肺がん、肝細胞がん、膠芽腫、尿路上皮がん、悪性胸膜中皮腫、卵巣がん、胆道がんなどを対象とした臨床試験を実施中です。現在、オプジーボは、日本、米国および欧州連合を含む60カ国以上で承認されています。
出典:小野薬品工業ニュースリリース ブリストル・マイヤーズ スクイブ社、未治療の進行または転移性腎細胞がんの中および高リスク患者を対象にオプジーボとヤーボイの併用療法を評価した第III相 CheckMate -214 試験のトップライン結果を発表(268KB)
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