補完代替医療を選ぶときの注意点

 前回までのおさらい

これまで補完代替医療の基本と情報について見てきました。

初回の「補完代替医療のきほん」では、補完代替医療の基礎知識について述べました。

補完代替医療のきほん

2016.07.13

 

前回は、信頼のできる情報源について紹介しました。

補完代替医療の情報の集め方

2016.07.14

「補完代替医療の情報の集め方」

 

そして今回は、「補完代替医療を選ぶときの注意点」です。

 

がん患者さんが補完代替医療を行う場合、本人や家族が色々と調べると思います。

前回私たちが紹介した記事以外からも情報を得るかもしれません。

数多く調べた中からどうやって自分たちに合ったものを選べばいいのか・・・悩みますよね。

しかし実際のところ、調べるときの注意点を知っていれば、取捨選択が簡単にできます。

なにを信じたらいいのか悩んでいる方必見!

情報選びの注意点のご紹介です。

 

 大きく3つの注意点

今回紹介する注意点は、大きく分けると3つあります。

  1. 確認すること
  2. 考えること
  3. やってはいけないこと

 

ここからは、それぞれについて見ていこうと思います。

 

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確認すること

情報を見る際に確認してほしいことは、5点あります。

これらの確認してほしいことは、集めた情報のどこかに書いてあることなので注意深く見つけてみましょう。

 

1.情報の出どころを確認

あなたが見ている情報は、誰からの情報ですか?

「医師の研究で明らかになりました」や「学会で発表されました」と聞かされると、信頼できる情報なのかなと思ってしまいがちです。

しかし、いつもそうだとは限りませんので注意しましょう。

 

利害関係が理由で薦めていることがある

情報を発表した人は、で、どこに所属しているか、また資金を出したのはどこかなどには注意が必要です。

背後に利害関係がある場合があります。

 

研究を発表した医師は、どこかの団体に所属していませんか?

よくあるのは、「○○(具体的な治療法など)をやればがんが治る!」と言っている医者が、 「一般社団法人○○推進協会理事長」だったりします。

つまり、医師が推奨している治療法などは、その医師が所属しているところで推進している治療法ということです。

その場合に中立的な立場で、その治療法について述べているとは考えにくいでしょう。

また研究者や資金援助した企業が利益を得るために、都合のいい結果ばかりが強調されていることもあります。

 

信用できる学会とそうでない学会がある

実は、学会で発表された内容にも注意が必要です。

学会と言っても、ピンからキリまであるのです。

研究発表を広く募集している学会もあるので、一概に学会で発表された内容が正しいとは言えません。

同様に医学雑誌も審査が厳しいものから、簡単に論文が載ってしまうものまであります。

基本的には、権威のある一流の医学雑誌は審査が厳しいので、そういったものを信用しましょう。

 

 2.効果が証明されているか確認

あいまいな情報を信じてはいませんか?

情報を信じるためには、その情報の根拠を確認しましょう。

 

「細胞実験」や「動物実験」で有効性が確認されたという情報は、よく見かけると思います。

しかし大事なのは、臨床試験(人に対する研究)で効果があったかどうかです。

動物実験で効果が出ても、臨床試験をしていなければ、人間に対しての効果は証明されていません。

効果が証明されている物質は、動物実験を行い、薬事法のもと治験のという臨床研究で効果や安全性が確認されます。

そして、厳しい審査を通ったものだけが、医薬品として認められるわけです。

このような国が定める手続きにより、薬であることの安全性や効果の根拠がきちんあります。

 

効果があるようなイメージで売られている商品などには、効果が証明されているか気を付けてほしいと思います。

 

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3.他と比較されているか確認

試そうと思っている補完代替医療の情報に、他の治療方法をした場合と比較された情報は盛り込まれていますか?

もしも、そのような記述がない場合は、疑った方がいいでしょう。

 

「この方法でよくなりました!」という記述があったとして、果たしてそれが本当なのかは比較がなければ分かりません。

比較がなければ、その方法が効いたのか、他のことが効いたのか客観的に判断できません。

はたまた何もしなくてもよくなっていた可能性もあります。

客観的に情報を見るためには、他の場合との比較は重要です。

 

4.数字にだまされていないか確認する

数字は使い方によって、受け取るイメージが変わります。

例えば、「1g」と「1000mg」どちらが多いでしょうか?

当たり前なのですが、同じです。

しかし、ぱっと見た感じでは、「1000mg」の方が多く感じてしまいますよね。

 

他にも、「この治療で7割の人の痛みがなくなりました」という文と、「3割の人の痛みはなくなりませんでした」という文では、印象が変わります。

どちらも同じ事を言っているはずなのに、「この治療で7割の人の痛みがなくなりました」といわれる方が、この治療を受けてみようかなと思う人は多いはずです。

 

このように、もっともらしく数字を使うことで、「客観的情報である」や「中立的な情報だ」とだまされてしまうことがあります。

同じ意味でも、数字の見せ方によって印象が変わるので注意しましょう。

 

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5.メリットとデメリットを確認する

情報を見て何かを判断する時に、意識したいのが「メリットとデメリットの比較」です。

言い換えるならば、「利益と危険の比較」です。

補完代替医療を選ぶときには、「利益」と「危険」の比較が必要です。

治療法には、効果という「利益」があります。

一方で、その治療法を受けることで体調が悪くなるという「危険」もあります。

ほとんどの治療法に、このような二つの面が多かれ少なかれあると言えます。

しかし世の中に出回る情報は、どうしても利益か危険の一方ばかりが強調されがちです。

特定の補完代替医療の情報を見るときには、利益だけでなく危険についても確認しましょう。

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考えること

補完代替医療について調べたときに、情報には書いてはいないので、自分で考えてほしいことが4点あります。

 

1.全体のうちのどれくらいなのか考える

魅力的な話や成功談などでは、全体の数を隠して一部の成功例だけを強調していることがあります。

 

例えば、とある治療法に成功した5人の話が紹介されていたとします。

しかし実は、この治療法を行った人は全体で1000人もいたのですが、成功したのはこの5人だけでした。

この治療法の効果を知るには、分数で考えましょう。

治療を行った人全体と成功した人の数を調べ、「成功した人 / 治療を行った人」の分数をして、この計算の割合を求めるわけです。

この場合は、5/1000=0.005となります。

つまりこの治療は、0.5%の成功率と言えます。

この治療法に効果があるとは言えないですよね。

 

ただ、こういったやり方をしている情報には、あまり全体数は載っていないと思います。

魅力的な話や成功談に遭遇したときには、全体の数はどのくらいなのか考えてみましょう。

 

2.いくつかの要因を考える

私たちは目についた出来事や情報だけを原因だと思い込んでしまいがちです。

もちろん、原因を理解するのは大事なことです。

しかし、その原因はひとつではないかもしれません。

 

友人が「毎朝ジョギングをしたら風邪をひかなくなった」と聞かされたら、「ジョギングのおかげで風邪をひきにくくなったのかな?」と思うかもしれません。

しかし本当のところは、友人は外出時にはマスクをしたり、手洗いうがいをちゃんとしたり、睡眠を十分に取っているかもしれません。

つまりジョギングが原因で風邪をひきにくくなったわけではなく、複数の要因があり、風邪をひきにくくなるという結果につながっているのです。

 

ひとつだけの原因で効果が出ているわけではないかもしれません。

複数の要因を考えてみてください。

 

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3.本当に代替医療のおかげか考える

本当に補完代替医療をやったおかげで、症状が軽減したのかについては見極める必要があります。

もしかしたら、行った補完代替医療は関係ないかもしれません。

 

前項で出てきたジョギングをしたら風邪をひきにくくなった友人の例で考えて見ましょう。

一見、友人がジョギングをするという原因で、風邪をひきにくくなるという結果を得たように見えます。

実際のところは、ジョギングは全く関係なく、それ以外のこと(外出時にマスクをする、手洗いうがいをちゃんとする、睡眠を十分に取る)が要因かもしれません。

しかし友人はジョギングが原因で、風邪をひきにくくなるという結果を得ていると思い込んでいます。

 

これを補完代替医療に置き換えて考えてみましょう。

症状を治すために行った補完代替医療が原因で、症状が治ったという結果を得たように見えます。

しかし、実際のところは補完代替医療が原因ではなく、精神的に落ち着いたことが原因であったり、処方されていた薬が効いてきたのかもしれません。

このようなこともあるので、行われた補完代替医療が、直接結果(効果)に結びついているかをよく考えましょう。

 

4.どういう意図の情報か考える

情報は往々にして客観的な事実からかけ離れた情報になってしまいます。

 

医師が患者さんに「この治療法は効いていますか?」と調査したとします。

患者さんは、いつもお世話になっているから気を遣って「効いています」と答えてしまうかもしれません。

もしくは、治療が効いてない人は通院をやめているかもしれません。

そうすると「効いている」と答える人の数が増えます。

結果として、効いているという情報になってしまいます。

 

このように情報がゆがんで伝わっていることがあります。

まずは、情報がかたよっていることを知りましょう。

そして、どういう意図で発せられている情報か(個人の意見なのか、調査された結果なのか=全体に効いたものなのか)をよく考えましょう。

 

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やってはいけないこと

やってはいけないことは、ただ1点のみです。

それは、「ネット情報のうのみ」です。

 

今やインターネットで検索をすれば、たくさんの情報を得ることができます。

ただし、その情報が正しいかどうかは別です。

いくら検索上位に表示されていても、正しい情報でない場合も数多くあります。

なので、「ネット情報のうのみ」はやめましょう。

 

 情報を見極めろ!

ここまで補完代替医療を選ぶときの注意点について紹介してきました。

上記をまとめます。

 

  • 確認すること

情報の出どころを確認

効果が証明されているか確認

他と比較されているか確認

数字にだまされていないか確認する

メリットとデメリットを確認する

 

  • 考えること

全体のうちのどれくらいなのか考える

いくつかの原因を考える

本当に代替医療のおかげか考える

どういう意図の情報か考える

  • やってはいけないこと

ネット情報の「うのみ」はやめよう

情報を見極めた先に、より良い補完代替医療があると思います。

これらの注意点を活かして、情報を見極めましょう!

 

参考資料

「統合医療」情報発信サイト利用マニュアル 厚生労働省「統合医療」に係る情報発信等推進事業

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