介護保険が使えるって知ってましたか?
がんが進行すると、介護ベットや車イスが必要な方もいると思います。
また介助が必要になり、ヘルパーさんを呼ぶこともあるかもしれません。
実は介護保険制度を利用すると、このような介護サービスが自己負担額1割(一定以上の所得者は2割)で利用できます。
介護保険というと、65歳以上の高齢者が利用するものというイメージがあると思います。
実際は、特定疾病により要介護状態や要支援状態になった場合でも、介護保険は利用できます。
その特定疾病の中に、「末期がん」も含まれます。
がん進行に伴い、必要な介護サービスが出てくると思います。
その時のために、今回は介護保険についてお話したいと思います。
介護認定とは
まず簡単に介護保険制度についてご紹介したいと思います。
介護保険制度とは、市区町村が運営している制度です。
私たちは40歳になると、保険料を払い介護保険に加入します。
基本的に介護保険制度は、65歳以上の介護が必要になった方向けの行政サービスです。
しかし、特定疾病の時は40歳以上から介護保険制度を利用できます。
この特定疾病には、がん末期も含まれます。
では、介護保険を使うためにはどうしたらいいのでしょうか?
それには、まず介護認定されなければいけません。
介護認定とは、「介護が必要です」と行政に認められることです。
つまり介護保険制度の利用を開始するためには、介護認定される必要があるのです。
がん患者さんの場合は、自分で介護が必要だと思った時や主治医ががん末期と判断した場合に、介護認定の申請ができます。
介護保険制度が利用できるがん末期の状態で介護認定の申請をして、認定されれば介護保険適用して介護サービスを受けられます。
家族から生活の支援を受けられない時も、介護保険の利用を考えましょう。
働き盛りのがん患者さんは、ご両親の介護を抱えているケースもあります。
また家族の仕事が忙しくて、どうしてもがん患者さんを手伝えないというケースもあると思います。
そういった時には、我慢せずに介護申請をして、介護サービスの利用をしましょう。
次の項目では、申請の流れについて見ていきたいと思います。
介護認定のためにやるべき2つのこと
この項目では、介護認定を受けるためにがん患者さんやそのご家族がやらなければいけない2つのことをお話しします。
①介護認定の申請
1つ目は、介護認定の申請です。
申請は、市区町村の窓口(もしくは地域包括支援センター)でします。
ここは介護相談の最初の窓口です。
厚生労働省のHPからの引用なのですが、残念なことに県によってはリンクが切れている場合があります。
その場合は、「地域包括支援センター ○○県」のように検索エンジンで調べてみてください。
申請する際には、65歳以上の方は介護保険被保険者証が必要です。
40歳~64歳までの方は、医療保険証を持って地域包括支援センターへ出向いてください。
その他にも持っていく物(判子など)があるかもしれませんので、事前に連絡して持ち物を確認するといいと思います。
②聞き取り調査(認定調査)
申請が終わると、次のやるべきことが待っています。
やるべきこと2つ目は、聞き取り調査(認定調査)です。
申請後に認定調査員と連絡を取り合って、聞き取り調査の日程を決めます。
この聞き取り調査は自宅(もしくは施設)で行います。
また家族が介助に関わっている場合は、家族の同伴が求められますのでご注意ください。
そして決められた日に調査員の訪問があり、聞き取り調査を受けます。
以上2つが、介護認定を受けるためにがん患者さんとそのご家族がやるべきことです。
聞き取り調査(認定調査)の内容が知りたい方は、以下の「認定調査票」が参考になると思います。
PDFです。
「認定調査票」新宿区HPより
③認定に必要な主治医意見書
同時進行で、市区町村は主治医意見書の作成を主治医に依頼します。
これは市区町村が勝手にやってくれるので、私たちが主治医にお願いする必要はありません。
がん末期という診断なしで介護認定の申請をした場合に、主治医に介護認定の申請をした事をきちんと伝えましょう。
上記で述べたように、主治医は意見書を書きます。
主治医の意見書に、自分自身がなぜ介護保険が必要なのかを書いてもらいましょう。
④通知を待ちます
申請と認定調査が終われば、あとは認定の結果が届くのを待つのみです。
しかし、結果が出るまでに全国平均30日くらいかかると言われています。
なぜ30日もの時間がかかってしまうのか?
その間に市区町村は一体何をしているのか?
次の項目で、これらの疑問に答えていきます。
もし申請時すぐにでも福祉機具のレンタルや訪問介護サービスなどが必要な時は、地域包括支援センターへ行ってみましょう。
現状で出来ることを教えてくれるはずです。
認定にながーーーい時間がかかる理由
なぜ介護認定の結果が出るのに30日もの長き時間がかかるのでしょうか?
それは、市区町村が審査判定というものを行っているからなのです。
具体的にその内容を見ていきましょう。
一次審査
まず、一次判定という審査が行われます。
これは聞き取り調査の結果と主治医の一部項目をパソコンに入力し、全国一律の方法で要介護の判定を行うものです。
二次審査
その後、医療・保健・福祉の専門家5名からなる介護認定審査会なるものが行われます。
そこでは、一次審査では評価しきれない特記事項や主治医意見書の内容を加味したうえで、その人にどれくらいの介護が必要か二次判定を行い要介護判定をします。
そして市区町村では介護認定審査会の判定結果にもとづき、要介護認定を行い、申請者に結果を通知します。
以上のことを行うために30日もの長い時間がかかってしまうのです。
通知を持って地域包括支援センターへ!
まず中の確認を
認定の通知がきたら、まず内容を確認してください。
その内容に要介護度の認定が載っているはずです。
認定は要支援1・2から要介護1~5までの7段階および非該当に分かれています。
通知を持って地域包括支援センターへ行く
要支援・要介護の方は、認定の通知を持って地域包括支援センターへ行ってください。
通知が来て終わりではありません!
必ず地域包括支援センターに行ってください。
要介護1以上の方の場合
そして要介護1以上の方は、地域包括支援センターで居宅介護事業所を紹介してもらいましょう。
居宅介護事業所とは、ケアマネージャーが所属している所です。
もちろん自分で事業所を探すこともできますが、当てがないのなら地域包括支援センターで紹介をしてもらい、ケアマネジャーさんと契約しましょう。
要支援1・2の方の場合
要支援1・2の方は、地域包括支援センターが担当します。
ここでもケアマネさんと同様に生活の相談を聞いてくれます。
利用できるサービスの量(支給限度額)は要介護度によって違いますが、要支援の場合も要介護と同じように介護保険を適用した金額(1割の自己負担、もしくは一定所得者の場合2割)で介護サービスを利用することができます。
非該当だった方への補足です。
非該当の方は介護保険は使えませんが、介護保険外の保健福祉サービス等は利用できます。
また、がんは急に悪化することがあります。
その時は、できるだけ早く地域包括支援センターへ行き、再度介護認定の申請をしてください。
再度申請に行った時に困っていることがあれば、その場でセンター係員が相談に乗ってくれると思います。
ケアプランの作成
地域包括支援センターに行った後に、地域包括支援センターかケアマネジャーさんが介護サービス計画を作成します。
介護サービス計画は、今後どのような介護サービスを行っていくかという計画です。
ケアプランとも呼ばれます。
この計画作成は、無料なのでご心配なく。
介護サービスの利用
ケアプラン作成後に、ようやく介護サービスの利用を開始できます。
要介護度によって、1ヶ月間に利用できるサービスの量(支給限度額)が定められています。
支給限度額の範囲内で利用した場合、利用者負担は費用の1割(一定以上の所得がある方は2割)です。
限度額を超えて利用した場合は、超えて利用した額は全額負担となります。
まとめ
今回は内容が長かったので、介護保険の利用手順をまとめたいと思います。
- まずがん患者さんが介護がほしいと思った、もしくはがん末期と診断されるところから始まります。
- 手続きのために市区町村の窓口(地域包括支援センター)へ行き、介護認定の申請をします。
- 後日、認定調査員が自宅を訪問し、認定調査を行います。
- そして大体30日くらいすると、認定結果の通知が届きます。
- 認定結果が要支援・要介護の方は、その通知を持って地域包括支援センターへ行ってください。
- 要介護1以上の方は、センターを介してケアマネジャーさんと契約しましょう。
(要支援の方は地域包括支援センターが担当となり、相談に乗ってくれます。) - 地域包括支援センターかケアマネージャーさんにケアプランを作ってもらいます。
- ケアプランに従って、介護サービスを利用します。
以上が、介護保険を利用するまでの流れになります。
この中で大事なのは、「2. 介護申請をしに行く」、「5. 認定通知を持って地域包括支援センターへ行く 」、「6. ケアマネさんと契約」です。
この3つは、能動的に自分からしなければいけないことです。
これ以外は、調査を受けたり、審査結果を待つなど受け身で対応すれば大丈夫です。
もしもケアマネジャーさんについて詳しく知りたい場合は、↓こちらの記事を参考にしてください。
参考資料
介護保険についての総合情報サイト 「きのくに介護deネット」
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