レシピ本の紹介
今回ご紹介するのは、「がん治療中の食事」というレシピ本です。
写真がとても色鮮やかで、見ているだけで食欲がわいてきます。
実はこの本、食べることが困難な人向けなのです。
ただ、がん専門医も共に考案しているレシピなので、普通に食べることが出来るがん患者さんも参考にしてみてください。
著者について
著者であるジョセ・ヴァン・ミルさんは、イギリス人シェフです。
この本を作るきっかけになったのは、彼女の旦那さんが、がんになったからでした。
彼女の旦那さんは、化学療法と放射線治療を行い、食べることが困難な状態になってしまいました。
そこで、シェフであるジョセ・ヴァン・ミルさんは、がん専門医や腫瘍専門栄養士などに連絡を取り、旦那さんが無理なく食べれる料理を考案したのでした。
そうすることで、旦那さんは元気を取り戻し、食欲も元通りになったそうです。
その経験から、著者は彼女が作ったレシピががん患者の食を助けられると思い、本を出版するに至ったそうです。
どんな症状の人向け?
この本は、食べることが困難な人に向いたレシピ本です。
がんになると食べることが出来ない場面がいくつも考えられます。
例えば、化学療法や放射線治療の副作用で、吐き気、嘔吐、便秘、下痢などが起きることがあります。
他にも、口やのどに痛みを感じたり、味覚がおかしくなることもあります。
もしくは、精神的なショックで食べることができなくなることもあるかもしれません。
こういった食事を取ることが苦痛な状況では、栄養を摂取できず体重を減らしてしまいます。
栄養状態が悪い体では、がんと闘うことも困難になります。
こうなってしまう前に、食べられる物を見つけるのは重要なことです。
この本では、食べ物を口にしてもらうために、レシピに様々な工夫があります。
食べ物の舌触り、温度、香り、一人前の量などなど・・・。
食べることができずに、痩せてしまうがん患者さんには是非試してほしいレシピです。
本の構成
レシピ本の章は、舌触りによって6章に分けられています。
軽いもの、口あたりいいもの、柔らかなもの、液体状のもの、サクサクしたもの、しっかりしたもの。
軽いもの
この章にある食べ物は、噛む必要がありません。口やのどに痛みのある患者さんも食べられます。
例:クリーミーフィッシュスフレ、にんじんクリーム、ホットレモンムース
口あたりいいもの
極度にのどや口が乾燥し痛むため、かむこと、そして飲み込むことさえ難しい人にとっても、簡単にするりとのどを通る料理です。
例:はちみつ入りパンナコッタ、オレンジ入りアドカドピューレ、スモークサーモン入りじゃがいもとブロッコリーのマッシュ
柔らかなもの
かむことについては問題を感じず、口やのどが痛む場合によいもの。
例:ポテトサラダ、クリームチーズとトマトのフィンガーサンドイッチ、ジャムクレープ・バニラシュガー添え
液体状のもの
かんだり飲み込んだりすることに痛みを感じるほど口やのどの状態が悪い場合には、液体状の食べ物を試しましょう。
例:トマトと赤ピーマンの冷たいスープ、アーモンドと桃のスムージー、スパイシーミルクティー
サクサクしたもの
口やのどに痛みや渇きを感じず、苦労せずにかんだり飲み込んだりすることができる場合に試しましょう。
例:シーザーサラダ、はちみつ風味の緑茶シャーベット、ポテトクッキー・卵サラダのせ
しっかりしたもの
のどや口に何も問題がなく、かんだり飲み込んだりができる場合に試しましょう。
例:スイートサワー味のえび、アップルパイ、子牛肉のカレー風味シチュー・パスタ添え
レシピの上部には、温度、塩味、香り、甘さ、などについて表記があります。
レシピと合わせてこの中から、患者さんの状態に合わせたものを試していただければと思います。
本書に載るがんによい食べ物
本書に載っているがんに良いとされる食べ物を引用します。
アプリコット | 醸造用イースト | 卵 | キウイ | パセリ | 種子類 | さつまいも |
アーティチョーク | ブロッコリー | 魚 | 脂肪の少ない肉 | 桃 | ごま | 緑茶 |
アスパラガス | キャベツ | 亜麻仁油 | リーキ | ピーマン | さめ | ハーブティー |
アボガド | にんじん | 鶏肉 | さば | ザクロ果汁 | 甲殻類 | ルイボスティー |
バナナ | カリフラワー | にんにく | メロン | かぼちゃ | しいたけ | トマト |
豆類 | シリアル | しょうが | ナッツ類 | ルバーブ | 大豆製品 | まぐろ |
ビーツ | チェリー | 穀類 | EPAの多い魚 | ローズヒップ | ほうれんそう | ターメリック |
ベリー類 | 柑橘類のフルーツ (グレープフルーツ除く) |
ぶどう | オリーブオイル | 鮭 | スピルリナ | 野菜 |
クロスグリ | たら | かれい | たまねぎ | いわし | スクワッシュ類 | 小麦胚芽 |
ブラジルナッツ | クランベリー | にしん | 有機植物 | すずき | ひまわりの種 |
フリーラジカルと抗酸化物質
著者はレシピ本で、フリーラジカルについて触れています。
私たちは、酸素を取り入れてエネルギーを作ります。
そのエネルギーを作る過程の副産物として、一部の酸素が酸化力の強いフリーラジカルになってしまいます。
そのフリーラジカルは、細胞を巡りDNAや細胞膜に損傷を引き起こします。
更にフリーラジカルによって起きた損傷によって、細胞内にがんが引き起こされる可能性があると言うのです。
このフリーラジカルを抑えるのが、抗酸化物質です。
アボカドを切ってそのままにしておくと、切り口が茶色くなりますよね。
これは、フリーラジカルを放出する酸化作用によって茶色に変化するためです。
しかし、アボカドにレモンの絞り汁をふりかけておくと、茶色くなりません。
なぜかと言えば、レモンの絞り汁が抗酸化物質として働き、酸化作用を抑えたためです。
結果として、アボカドは茶色くならなかったというわけです。
抗酸化物質は、上記のアボカドの例のように、フリーラジカルを抑える働きがあります。
フリーラジカルを抑えることで、がんを防ぐことができます。
また抗酸化物質には、初期のがん細胞を健康な細胞に戻すことによって、細胞ががん化するのを防ぐ働きもあります。
抗酸化物質を多く含む食品は、以下のようなものがあります。
ポリフェノール
ベリー類、ぶどう、マスタード、オリーブオイル、ごま、お茶に含まれます。
セレニウム
ビタミンEと併せて摂取すると大変強力な抗酸化物質として働きます。アボカド、ブラジルナッツ、醸造用イースト、シリアル、穀類、甲殻類、ひまわりの種に含まれます。
ビタミンE
アボカド、卵黄、ナッツ類、オリーブオイル、種子類、まぐろ、小麦胚芽に含まれます。
ベータカロテン
色の鮮やかな果物、野菜に含まれます。特に黄色い色素を含むものに含まれ、がんを防ぐ抗酸化物質として働きます。アプリコット、ビートルート、ブロッコリー、カンタロープメロン、にんじん、チェリー、桃、ピーマン、かぼちゃ、ほうれんそう、スクワッシュ類、さつまいもに含まれます。
ビタミンC
強力な抗酸化作用があると言われています。正常な細胞を守る効果があり、がん細胞に対して敏感です。クロスグリ、かんきつ類、パセリ、ローズヒップなどをはじめ、すべての果物と野菜に含まれます。
バイオフラボノイド
果物や野菜に含まれるバイオフラボノイドという色素は、がん細胞の成長を止めたり遅くしたりすることができます。アプリコット、レモン、メロンなどに多く含まれます。バイオフラボノイドとビタミンCは同じ食物に含まれていることが多く、免疫システムにプラスの影響を与えるようです。これは、化学療法によって免疫システムが傷つけられる際に大変重要です。ビタミンCとバイオフラボノイドをともに含む食べものには、ぶどうの皮、かんきつ類の皮などがあります。
その他抗酸化作用の高いものには緑茶、リコピン(調理したトマトに含まれます)、ザクロの果汁、アーティチョークがあります。また、クルクミン(ターメリック)は正常な細胞には抗酸化物質として働き、がん細胞を殺すことができます。
引用元:がん治療中の食事 p.10~p.11
オメガ3脂肪酸やタンパク質
これら抗酸化物質を含む食品以外にも、本書にはがんによいとされる食品が紹介されていました。
例えば、オメガ3脂肪酸です。
オメガ3脂肪酸は、腫瘍の成長を遅らせると言われています。
しかし、体内では生産されないため、食べ物から摂取しなくてはなりません。
すずき、たら、ひらめ、にしん、さば、鮭、いわし、さめ、まぐろなどの魚に含まれます。
植物にもオメガ3脂肪酸は含まれるのですが、呼び名が変わりアルファリノレン酸と呼ばれています。
アルファリノレン酸は、亜麻仁、いんげん豆、大豆に含まれます。
他にも、組織を作ったり、修復したり、筋肉量を保ち健全な免疫システムを維持するために、タンパク質も重要です。
タンパク質は、卵、魚、赤身の肉、豆類、ナッツ類、鶏肉、豆類、種子類、大豆製品などが挙げられます。
こういった食材を使うことを「がん治療中の食事」ではすすめています。
本書を使うにあたり注意して欲しいこと
このレシピでは、舌触りがいいもの、つまり柔らかくする処理をするために多くのレシピでフードプロセッサーが使われています。
なので、もしも本書を手に取り作りたいと思ったら、フードプロセッサーを購入することをおすすめ致します。
↓下のフードプロセッサーは、山本電気の据え置き型のフードプロセッサー。山本電気は、国内屈指の自動車関連モーターの技術を活かし、フードプロセッサーなどを開発・製造しているメーカーです。amazonでの評判もいいです。
こちらは、フードプロセッサーとしての役割はないのですが、切った野菜などを入れてボタンを押すだけでスープなどができます。
↓こちらも山本電気の商品です。お値段がすごく高いのですが、とっても優れものです。切った野菜などを入れておくだけで、煮物やスープなどの柔らかい食事が出来上がります。栄養を逃がすことなく調理できます。調理が苦手な人や、時間がない人に、オススメです。
食事が出来るようになるためのヒント本
がんになると、食べることが大変になってしまうことがあります。
もしも、家族がそのような状況になっていたら、この本を参考にして欲しいと思います。
作る側も本の通り作らなくてはいけないと思わずに、用意できない食材を違う食材に置き換えて作っても大丈夫ですし、調理法を参考にするだけでも大丈夫です。
一番大事なのは、患者さんが食べれるものを見つけることです。
この本には、そのためのヒントがたくさん詰まっています。
ぜひ参考にしてみてください。
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