膵臓がんになると、患者さんも家族も、やはり気になるのは食事です。
特に食欲が落ちたりすると、みんな内心焦りますよね。ですが慌てる必要はなく、対処法を知っていることである程度食欲も回復できたりします。
ちなみに、手術をしたり抗がん剤をしたりすると、食欲は落ちるものです。それ以外にも食欲が落ちる要因はあります。
がんになる前も、ストレスや心配事、インフルエンザや風邪で食欲が落ちることはありましたよね?(恋愛でもありますよね。)食欲は心や体ととてもよくつながっているんですね。だから解決法もあるんです。
さて、「なんだか食べられないな」と思ったら、患者さんは、そして家族はどうしてあげたらいいでしょうか?
「何を食べたらいいのか」「どうやって食べたらいいのか」と、とても悩みますが、食べるものはほとんどがんの進行に影響しないと国立がん研究センターは言っています。(まだはっきりと解明されていないのかもしれません)
食欲があるときは好きなものを食べてもらえばよいですが、食欲が無いときにはできれば食欲を回復させて、効率よく栄養や水分を取りたいですよね。
色々なサイトで「注意しなさい」的な内容を見ますが、あれやこれや色んなことを言っていて、全部の内容をごちゃまぜにして話していたりします。そして料理もかなり凝っていて「そんなにできないよ!」と当時の私たちも感じました。家族みんなが料理が得意で、料理にかける時間がたっぷりあるならいいですが、そういうわけにもいきませんよね。
まずは食欲が落ちる原因に絞って、できることをわかりやすくご紹介します。
原因別の工夫
前述のとおり、食欲が無くなることには原因があります。まずは該当するものをチェックして、対処しましょう。

考えられる原因5つ
- 消化吸収機能の低下
(吐き気や嘔吐・下痢・便秘を引き起こしていて消化器官が弱っている) - 副作用の影響
(抗がん剤や放射線治療によって、口内炎や味覚障害、吐き気や嘔吐がある) - 消化管の通過障害・嚥下障害
(がんにより消化管が狭まっていたり、手術によって切除したことにより食べ物がうまく通らない、飲み込みづらい) - 睡眠不足・だるさ・痛みなどの体動困難
(食事以外の要因で疲れてしまっていて食事する気が起きない、体力がない、体を起こすのがつらい) - 心理的な負担
(治療前にくらべて食べられないことへのストレスや「食べなければ」という精神的な不安・つらさ)
それぞれの対処法
1.消化吸収機能の低下
吐き気や嘔吐・下痢・便秘を引き起こしていて消化器官が弱っている場合の対処法は4つ。

⇒ 消化しやすい食品を摂る(そば、お粥、大根、鶏肉、りんご、バナナ、ヨーグルトなど)
「消化に良い食べ物ってなに?胃腸炎でもやさしい食材とは!|KAMOME TIMES」
「胃腸に優しい食品一覧!食物繊維が少なくて薄味の食品を選ぶ|ピロリ菌辞典」
⇒ 消化しやすい調理法にする(やわらかく煮る、温かい料理にする、繊維を細かく切る、油脂を摂りすぎない、味付けを薄めにする)
⇒ 小分けにする(一気にたくさん食べない、一日6回などに分ける)
⇒ 無理せず栄養ドリンク、サプリメントを摂る
▼おいしい栄養食品・栄養ドリンクを紹介している記事もどうぞ。
2.副作用の影響
抗がん剤や放射線治療によって、味覚障害、口内炎、吐き気や嘔吐がある場合の対処法は、基本の4つ+各症状への対処です。

副作用が出て食欲がない時に共通するのはこちらの4つ。
⇒ お皿への盛りつけ方を工夫する(患者さんの好きな食器を使う、色のきれいな野菜や果物を一緒に出す)
⇒ 品数を増やし(お惣菜を使ってもいいでしょう)、小さめの小皿に盛る
⇒ 吐き気など副作用が出る投与・治療後1~3日は食事を少なめに調整、食べられそうなときに食べる
⇒ 食べられそうなとき用に一口大のおにぎりや小分けのおかずを用意しておく(ジップロックに入れて冷凍が便利)
味覚障害
⇒ においに敏感になっているので、においの強いものを控える(納豆・肉・青魚など)
⇒ 香りや旨味を利用する(レモン汁・ごま・ゆず・しそ・生姜・酢を使う、だしを効かせる)
⇒ 味を濃いめにする
⇒ 味を感じない場合、または変な味になる場合、いろいろな調味料を試してみる・減らしたり増やしたりしてみる
塩味、しょうゆ味などを苦く感じたり、金属のような味に感じるときがあります
塩味を控えめにしたり、いろいろな調味料を使って、食べられそうな味を試し、だしを効かせたり、ごまやゆずなどの香りや、酢を利用して風味を添えると食べやすくなります。甘味に過敏になり、何でも甘く感じる場合もあります
料理に砂糖やみりんを使わないで、塩、しょうゆ、みそなどで濃いめに味を付けてみたり、酢、ゆず、レモンなどの酸味を利用しましょう。汁物は食べられることが多いようです。味が感じられないときもあります
濃さを加減しながら味にメリハリを付けてみます。酢の物、果物などの酸味を利用し、食事の温度は人肌程度にすると食べやすいようです。
口内炎
⇒ 口が乾かないようにする、マウスウォッシュや歯磨きなどで口を清潔にする
⇒ 香辛料など刺激物を控える
⇒ 柔らかいものを食べる(ゼリーやお粥など)
▼口内炎を早く治せる方法を書いた記事もどうぞ。
口内炎を治したいあなたに捧げる!口内炎マスターが授ける口内炎を治す4つの秘術
吐き気や嘔吐
⇒ 口当たりがいい・冷たい・あっさりとしたもの・飲み込みやすいもの・においが少ないといったものを摂る(そうめん、お茶漬け、おじや、酢の物、卵豆腐、プリン、シャーベット、ゼリーなど)
⇒ 水分が多い果物や野菜を摂る(スイカ、みかん、りんご、なし、トマトなど)
⇒ 吐き気が強い場合、一食抜いてみる
⇒ どうしてもだめだったら、無理せず担当医に相談して吐き気止めや胃腸の働きを促す薬を処方してもらう
3.消化管の通過障害・嚥下障害
がんにより消化管が狭まっていたり、手術によって切除したことにより食べ物がうまく通らない、飲み込みづらい場合の対処法は3つ。

⇒ 食材を細かく切ったり、ペースト状にしたり(ミキサー、裏ごし、すりつぶす)、やわらかく煮たり、汁にとろみをつける
⇒ 消化しやすい食品を摂る(そば、お粥、大根、鶏肉、りんご、バナナ、ヨーグルトなど)
「消化に良い食べ物ってなに?胃腸炎でもやさしい食材とは!|KAMOME TIMES」
「胃腸に優しい食品一覧!食物繊維が少なくて薄味の食品を選ぶ|ピロリ菌辞典」
⇒ むせる場合は姿勢を工夫する(上体を45~60度起こしてあごを引いた姿勢、むせ具合によって調整する)
4.睡眠不足・だるさ・痛みなどの体動困難
食事以外の要因で疲れてしまっていて食事する気が起きない、体力がない、体を起こすのがつらい場合の対処法は5つ。

⇒ 食べられそうなときに食べる。口大のおにぎりや小分けのおかず、間食を用意しておく(ジップロックに入れて冷凍が便利)
⇒ お皿への盛りつけ方を工夫する(患者さんの好きな食器を使う、色のきれいな野菜や果物を一緒に出す)
⇒ 小さめの小皿に盛る
⇒ 食べやすい姿勢、場所で食べる
⇒ 少量でエネルギーの高い(高カロリー)食品や油を利用する、はちみつやジャムなどの糖分を取り入れる
▼口内炎や炎症によいとされるはちみつについての記事もどうぞ。
5.心理的な負担
治療前にくらべて食べられないことへのストレスや「食べなければ」という精神的な不安・つらさがある場合の対処法は5つ。ご家族の協力も不可欠です。

⇒ 間食を摂る、決まった時間に食べない、食べられるときに食べる
⇒ 栄養を考えないでもいい(食べたいと思うものを食べるのでOK、たまにちゃんと栄養を摂ればいい)
⇒ 栄養ドリンクやサプリメントを利用する(食べ物を無理に食べる必要はない)
▼おいしい栄養食品・栄養ドリンクを紹介している記事もどうぞ。
⇒ 軽い運動をする(散歩や軽いストレッチなど)
⇒ 家族は無理に食べさせようとしない
さいごに
どの対処法にも共通して言えることは、無理して食べないこと・見た目から食べたくなるように工夫する・食べられるときに食べる・お腹にやさしいものを食べることですね。
わかりやすく分類したことで、ちょっと頭の中が整理できたのではないでしょうか。
といっても、患者さん本人が好きなものを基本的に摂ってもらって、食事が楽しい!癒される!生きがいになる!と感じてもらうのが何よりも大切なことです。食事だって楽しみましょう!
この他にも食欲が出ないときにすべきこと、家族ができること、料理例など様々ありますので、また別の記事でご紹介します。
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