災害時にがん患者さんがすべき対応
大規模災害が起きてしまった時のために書きました。
災害時にtwitterで情報を見ていましたが、がん患者さん向けの情報がなかったのでまとめました。
まず災害が起きたらすること
1. 情報・通信手段を確保する
ラジオ、携帯電話、パソコンなどから情報を集めます。
LINE、facebookなどのソーシャルネットワークサービスが役立ちます。
2. お薬手帳・数日分の薬を持って避難する
薬の名前や病名を書いた手帳(お薬手帳、携帯電話など)、数日分の薬を避難先に持って いきます。
大規模災害時、病院や診療所に受診できない時は、処方箋や薬がなくても、保険薬局にお薬手帳や薬袋を持参すれば薬を受け取ることができます。
保険証を提示したり、現金の支払いをしなくても医療機関を受診したり、薬を受け取れます。
薬は、数日経てば 流通し始めます(いずれも東日本大震災の場合)。
3. 安否の連絡をする
通信ができれば、事前に決めておいたように安否の連絡をします。
避難した場合は、安否確認に来た人に避難先が分かるようにメモなどを残しておきます。
4. 避難する
建物や室内の安全、電気・水道・ガス、天候を総合的に判断して避難するかどうかを決めます。
自宅で待機する場合、所在情報を近くの避難所に伝えておきます。
(自宅にいることが誰にも知られていないと「取り残されてしまう」からです)。
もし患者さんを搬送する場合は、以下の搬送方法を参考にしてください。
がん治療や抗がん剤による治療を受けている人
治療再開の見当をつける:急ぐ治療と急がない治療を知る
- 抗がん剤による治療は、胃がん、肺がん、大腸がんなどたいていのがんの場合、1~2週間程度遅れても病状が進行することはありません。
災害直後には、まず自分の生活を整えることを優先してください。
- ただし「白血病など血液に関係した腫瘍、胚細胞腫瘍、その他の特殊な腫瘍」では、治療を継続して行う必要があります。
医療機関などに必ず相談してください。
- 飲み薬の抗がん剤は、手元に薬があって服用方法が分かっている場合は、体調が普段と変わりなければ服用を続けてください。
- 2週間くらい前に静脈からの抗がん治療を受けた患者さんや、「白血球が少ないので注意し てください」と言われている患者さんでは、感染症に注意が必要です。
38度以上の発熱がある場合は、抗生物質が手元にあれば、まず内服してください。
治療を受けられる施設に関する情報を得る
- 大規模災害時は、病院ではがんの診療ができなくなる場合もあります。
普段受診している病院に連絡が取れない時は、地域のがん診療連携拠点病院のがん相談支援センターに連絡してください。
国立がん研究センターが運営するサイト「がん情報サービス」には、がん患者さんのための災害に関する情報のページでがん相談支援センターについて見ることができます。
がん患者さんのための災害に関する情報
- 地域で治療が受けられない時、全国のどの施設でどのような治療が可能かは、ラジオ・テレビなどのほか、国立がん研究センターのホームページに掲載されます。
- 自宅避難をされていることを避難所や役所に伝えておくと、その後の情報が入りやすくなります。
がん治療をしている人が気を付けること
ガレキ、ヘドロの処理作業はしない
抗がん治療中は、感染への抵抗力が低下しています。ガレキ撤去、ヘドロ除去、家屋の清掃などはせずに、体調を整えることを優先してください。
感染を予防する
マスクの着用、うがい手洗い、体温の測定を行います。
水が不足している時の対応としては、以下の方法があります。
- うがいは、一度に多くの水を含んで吐き出すよりも、「少量ずつ□に含んでは吐き出す」をくり返す方が効果的です。
- 手洗いは、使用できればアルコール消毒液(ビオレU手指のスプ レースキットガードなど)を使用します。
- 歯磨きは、チューブ入りの歯磨き剤は使わず、歯ブラシを少量の水で濡らして磨きます。
- 入れ歯は、使い捨ておしぼりでふきます。針金は、歯ブラシや綿棒で清掃します。
- 歯ブラシがない時は、タオルやティッシュペーパーで歯の表面をふきます。
脱水・血栓を予防する
十分に水分をとります。食事がとれない時も水分は十分とるようにします。
トイレに行く回数を減らすために飲水を控える方が多いのですが、脱水、膀胱炎、血栓症 (血液がねばねばになり、つまりやすくなる)になりやすくなります。
血栓症の予防のために、足が動くようなストレッチや軽い運動を行います。
がんであることを伝える
避難所などで集団生活をしている場合、がん治療中であることを避難所の保健師に伝えることで、衛生状態に配盧してくれます。
発熱したら
あらかじめ医師と相談できている場合には、それに従います。
災害のため受診ができない場合には、抗生物質が手元にあれば内服してください。
◆一般的にすぐに受診したほうがよい症状◆
●38.0度の体温が1時間以上続く、(発熱とともに)寒気がしたり、汗が出る
●傷口などの異常。傷口、手術の傷、中心静脈カテーテルなどの挿入部位、皮層(性器や肛門周囲)が赤くなったり、 腫れたり、膿んだり、圧痛があったり、熱をもっている。
●下痢や嘔吐が続く。
●今までなかった痛みが起こったり、痛みがひどくなる。
●排尿時に痛みがある、血尿や尿がにごる。
●ひどい頭痛、首がこわばる、意識があいまいになる。
●副鼻腔の痛み、喉の痛み、口内炎、息切れや咳・痰。
医療用麻薬を使用している方へ
医療用麻薬の災害時の入手の仕方
医療用麻薬は、多くの方が利用されている一般的なお薬です。
被災の状況にもよりますが、たいていの病院や薬局であれば医療用麻薬を受け取ることができます。万が一同じ薬が入手できなくても、代わりになる方法がありますので相談してください。
医療用麻薬が手に入らない時
どうしても医療用麻薬が手に入らない時は、痛みがひどくならない程度に、「1回に飲む量」を 少し減らしてください。
たとえば、毎食後に3錠飲んでいれば毎回2錠にしてください。飲む間 隔は変えないでください(1日に2回飲んでいたものを1回にすることはしないでください)。
普段使っている医療用麻薬がどうしても手に入らない時は、以下のPDFに「医療用麻薬の代わりの薬リスト」が載っているので参考にしてください。(P. 26~27)
大規模災害に対する備え(saigai_booklet.pdf)
引用元:がん情報サービス
我慢しないで
最後に言いたいのが、「我慢をしないでください」ということです。
非常事態なので、いつもと違い大変な負担が体にかかっています。
体に少しでも違和感を感じたら、周りの人に言いましょう。
また避難所では、医師や看護師・保健師が巡回しています。
自分の身体に問題が発生する前に、早めに病気のことを伝えておけば、様々なサポートを受けやすくなります。
慣れない避難所生活や余震で疲労もたまっていると思います。
どうかどうか無理をなさらず、深呼吸やストレッチ、周りの方との会話でリラックスして過ごしてください。
参考資料
がん情報サービス(国立がんセンター提供):大規模災害に対する備え(saigai_booklet.pdf)
こちらは「電動ポンプ」、「酸素療法」、「たん吸引」、「人工呼吸器」などの情報も載っています。
兵庫県立大学看護学研究科COEプロジェクト:命を守る知識と技術情報館 がん患者編
「がんの化学療法を受けている人のために」、「化学療法中の副作用への対処」などが「災害発生初期マニュアル」として読めます。(ただ少し読みにくいです)。
米国がん協会(AmericanCancerSociety):自然災害発生時のがん対処法ーがん患者と介護者のためのQ&A
災害時の患者向けの対処方法の Q&Aの日本語訳が掲載されています。
これらの参考資料は、国立がんセンター提供のがん情報サービスからの引用です。
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