リラクセーションのすすめ
ここで、いきなりですが、質問です。
リラックスした状態と、ストレスを感じてる状態、どちらの方が患者さんにとって良い状態でしょうか?
当たり前ですが、リラックスした状態の方が良いに決まってますよね。
具体的にリラックスした状態が良い理由をみていきたいと思います。
実は、ストレスを感じると、交感神経が興奮し、筋肉や神経が緊張し、血圧が上昇し、脈拍が速くなります。
更に強いストレスに長時間さらされると、免疫力まで低下してくると言われています。
反対にリラックスは、ストレスとは対極にあり、筋肉や神経がゆるんだ状態です。
がん患者さんは、苦痛や痛みがまた起こるのではないかという不安などで、筋肉も神経も緊張しがちです。
そんな状態の時に試して欲しいのが、リラクセーション(緊張の緩和)です。
リラクセーションをすると、不安、緊張感、抑うつ気分を和らげるだけでなく、寝つきを良くしたり、痛みを間接的に軽くするなどの効果も期待できます。
つまり、リラクセーションは苦痛を和らげ、気持ちよく過ごせるようにしてくれます。
リラクセーション法
ここからは、どんなリラクセーション法があるのかを紹介していきます。
一般的な方法
一般的なストレス解消法もリラックスするのに有効だとされています。
例えば、ヨガ、気功、アロマセラピー、リフレクソロジー、マッサージ、岩盤浴などです。
これらも緊張を取り除き、リラックスさせる効果があります。
ただし、ヨガなど体を使うものに関しては、医師に確認をしてみましょう。
音楽療法(音楽を用いたリラクセーション)
簡単に言えば、自分の好きな音楽を聴いてリラックスするリラクセーション方法です。
音楽を聴くと、交感神経の興奮が鎮まり、副交感神経が働くようになるといわれ、ストレスを解消するすぐれた力があると言われています。
一説には、モーツァルトの音楽がいいとの話もありますが、それにこだわらず、自分の好きな曲を聴くのがいいようです。
気晴らし療法(好きなことをするリラクセーション)
好きなことをして、気晴らしをする。というリラクセーションです。
個人個人の身体状況や好みに合った楽しみ方をすることで、自立を促したり、生活を活性化したりする方法で、日本では「気晴らし療法」と呼ばれています。
好きなことをするだけのリラクセーションなので、本を読んでもいいし、絵を描いてもいいし、スポーツ観戦してもいいし、自分が好きなことをしてください。
前項で紹介した音楽を用いたリラクセーションも、この気晴らし療法に含まれるかもしれません。
このリラクセーション法は、無理なくできる方法です。
呼吸法
簡単に説明すると、呼吸法とは鼻からゆっくり息を吸って口からゆっくり吐くリラクセーション方法です。
呼吸法は病院でも実施されているリラクセーション法です。
やり方
始める前に
- 静かな落ち着ける場所で、イスに深く腰掛けましょう。(寝た姿勢でも構いません)イスに腰掛ける場合は、足の裏はしっかり床につけます。
- 衣服を緩めて、体を楽にします。
では、始めましょう!
- 目は軽く閉じて、ゆっくりとした呼吸を繰り返します。
- 自然に体の中に意識が向いていくのを感じます。さらに、呼吸に意識を向けていきましょう。
- 吸う息は鼻から、吐く息は口元をすぼめ加減にして、フゥ~、しずかに、ゆっくりと・・・。
- 息を吐くときは、吸うときの倍の長さで、お腹の底から全部吐ききりましょう。「ひと息ひと息、心を込めて、ていねいに・・・」
- 頭の中に何か浮かんできても、気にしないで受け流しましょう。
- 息を吐きながら、体全体の力を抜いていきましょう。体の力が抜けたときの気持ちよい感じを味わいましょう。
終わりに
- 気持ちが落ち着いてゆったりとした時間が持てたら、少しずつ普段の呼吸に戻していきましょう。(目安は5~10分)
- 静かに目を開け、軽く手足を動かしながら、体の感覚を戻していきましょう。両手をグーパーする、伸びをする、左右の肩まわしなど。
※注意!突然立ち上がると、めまいを起こすことがあります。
筋弛緩法
筋弛緩法とは、筋肉を緩めて、心と体をリラックスさせる方法です。
大きなゆったりとした呼吸に合わせて、1つ1つの筋肉を緩めていきます。
- イスなどに座り、軽く目を閉じて、呼吸を整えます。
- 息を吸うときに筋肉に力を入れて、吐くときに力を抜いていきます。
- 手や腕から始め、その後は足から順に上方に進んで、最後に顔まで緩めます。
- 緩めた時の時間を十分に取り、緩んだ心地良さを味わいましょう。
- 顔まで終わったら、いきなり立ち上がらずに、体を伸ばしたり、曲げたりして普段の体の感じを取り戻します。(でないと、めまいを起こします。)
- 慣れたら、寝転んで試してみましょう。
この説明だけだと、イメージしにくいかもしれません。
寝る前に行うヨガアプリに、似たような動作があるので試してみてください。
もしくは、メンタルヘルスコンサルタント竹内 理恵さんが教える筋弛緩法をご覧ください。
彼女は、株式会社富士ゼロックス総合教育研究所でメンタルヘルス分野におけるコンサルティングを担当していらっしゃいます。
グループ療法
グループ療法とは、同じ種類のがんの患者さんが集まって、各自の経験や心の状態を語り合う、共通の活動に取り組むなどによって精神的ケアを進めるものです。
話をするにあたって、臨床心理士などが補佐として一緒に取り組むこともあります。
またグループ療法の中で、軽い体操やアロマセラピーなどを行い、心身の緊張を和らげてケアの効果を高める方法も用いられます。
こうした活動によって患者同士の連帯感が生まれ、その結果、個々の患者さんは心の問題によりよく対処できるようになります。
何より同じ経験をしているという共有感は、心の深いところで理解し合えたり、励まし合ったりできるので、患者さんにとって大きな意味があります。
生活の質を上げるために
日本では上記のようなリラクセーション法がありますが、日本国外でも検証が進んでいます。
海外では、アロマセラピーマッサージが不安障害やがん倦怠感に有効であること、鍼治療が吐き気や痛みを緩和することなどが、臨床実験で検証されています。
これ以外にも、2007年にイスラエルのテルアビブ大学から、精神的なストレスを抑えると癌の転移を抑えられるという内容が発表されました。
がんのある動物から、がんを手術で取り除き、その後ストレスホルモンの分泌を抑制した場合における手術後の癌転移の頻度を調べました。
その結果、通常のストレスホルモンを分泌した場合に比べて、ストレスホルモンの分泌を抑制すると癌の転移が抑制されることが分かりました。
更に、癌切除手術後の生存期間も2~3倍に延長することも分かりました。
これらの結果から、手術の前後での心理的なストレスが免疫機能に悪影響を与え、免疫力を低下させて癌転移を促進させると結論付けています。
上記の研究は、人間由来の細胞を使った実験ではないものの、精神的なストレスが体に悪影響を与えている可能性を示唆していると思います。
やはり体と心は繋がっていると考えるべきなのでしょう。
がんになるとストレスを感じることが多々ありますが、できればそのストレスは解消した方が苦痛を感じずに生活できるでしょう。
そのために、ここで紹介したリラクセーション法を試してみてください。
リラクセーションを取り入れることによって、生活の質が上がると思います。
参考文献
日経メディカル編集『がん患者さんの心と体の悩み解決ガイド』(2007年)
向山雄人著 『よくわかる最新医学 がんの痛み対策と緩和ケア』(2009年)
ロハスメディア編集 公益財団法人がん研究会監修 『がん研が作った がんが分かる本』(2012年)
がんの転移は、精神的なストレスを除くと抑えられる ー海外医学誌発表
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