がん性疼痛は我慢しなくていい!医療者への上手な痛みの伝え方とは?

どこかで聞くかもしれない「がん性疼痛」

がん性疼痛という言葉を聞いたことありますか?

もしかしたら、がん関連のサイトを読んだ時や、病院で先生の口から聞くこともあるかもしれないですね。

私が初めて「がん性疼痛」という言葉を聞いたのは、病院だったと思います。
その時はがんの痛みのこと位にしか思わなかったし、その程度にしか分かりませんでした。

しかし、この「がん性疼痛」は何が原因なのか、またどう対処すればいいのかなどは全く知りませんでした。

初めて聞いた方もこれから遭遇する言葉かもしれないので、是非この記事を読んで備えましょう!

 

4つの原因から起こるがんの痛み

がん性疼痛とは、がんをきっかけとして起こる痛みのことです。

以前、私が初めてがん性疼痛と聞いてがんの痛みの事だと思いました。
恐らく皆さんも初めてこの言葉を聞くとそう思うのではないかと思います。

では、がんの痛みって何でしょうか?

がん性疼痛、つまりがんをきっかけに起こる痛みには、4つの原因があります。

  1. がん自体が原因となる痛み

    がんの痛みの約70%は、がん自体が周囲の組織に広がって起こる痛みです。
    骨に転移すると、骨膜(*1)への刺激や骨折(*2)などによって痛みが起こります。
    胃や腸など内蔵にがんが広がると、消化管の動きが悪くなり、腹痛が起こります。
    また、がんの広がりによって神経が圧迫されると、激しい、しびれたような痛みが起こります。

    *1骨膜:骨の周りにある膜を骨膜と言います。
    がん細胞がその膜を浸食して広がり、骨の神経を刺激。それが痛みとなります。

    *2骨折:がん細胞が骨にまで達すると、骨がグチョグチョになってしまいます。そのように柔らかくなると骨が折れてしまうのです。
    または、がん細胞が増え続け巨大化し、骨が圧迫されて折れてしまうこともあります。

  2. がんに関連した痛み

    がんが間接的な原因となる痛みです。
    がんで寝たきりの時間が長くなると、筋肉がやせたり、関節が硬くなり、動かすと痛みが生じます。
    また、がんの痛みのために同じ姿勢で寝ていると床ずれ(もしくは褥瘡、「じょくそう」と読みますが起こります。
    また、がんによって、起こる便秘も痛みの原因になります。

  3. がん治療に関連した痛み

    がんの治療によって痛みが出現することがあります。
    手術によってできた瘢痕(はんこん:傷跡)や、神経の損傷によって痛みを感じることがあります。
    抗がん剤治療の副作用で起こる口内炎も、痛みの原因になります。
    放射線治療では、口内炎や腸炎、皮膚のやけどなどで痛みが起こることがあります。

     

  4. がん患者さんの別の病気による痛み(がんに関係のない痛み)

    もともと持っている頭痛・関節痛など、がんとは関係ない痛みが、がんに併発して起こった痛みのことです。
    また、がんの患者さんは免疫力が低下しています。
    このため感染症にかかりやすくなります。
    帯状疱疹(たいじょうほうしん)は神経を侵すので、強い痛みが出現することがあります。

    引用:がん情報サービス

 

ちなみに「3.がん治療に関連した痛み」の抗がん剤の副作用による口内炎は、ハチミツで治ったという話を薬剤師さんから聞いたことがあります。

口内炎については、以下の記事をご覧ください。

抗がん剤で口内炎になってしまったら

2016.07.01

 

がん性疼痛は我慢しなくていい!

昔は、痛みを我慢することが美徳とされてきました。

しかし現在は、そう考えられてはいません。
1986年に世界保健機構(WHO)が、がんの患者さんを痛みから救うために「がんの痛みからの解放」という本を発刊しました。
その中で「がんの患者の痛みは治療できる症状であり、かつ早期に治療すべき症状である」と述べています。

では、なぜそう考えられるようになったのでしょうか。

理由はやはりがん性疼痛は、人に無用の痛みだからだと考えられます。

「痛い」という感覚は、痛みの原因となる部分に分布している刺激物質が、脊髄に運ばれ、さらに脳へと運ばれることで起こります。
脳に痛み刺激が伝わることで、初めて人は「痛み」を感じます。
けがややけどなどの場合、人は手や足を引っ込めたり、その部分をかばう動作をします。
これは、痛みの感覚が脳に伝わることで、体へのダメージを食い止めているのです。
つまり、この場合の「痛み」は、危険信号の役割を果たしています。

ところが、がんによる痛みは、けがややけどのような危険信号の役割はなく、慢性的で強い痛みが持続し、人にとっては無用な痛みというわけです。

もしも、この無用な痛みを我慢し続けるとどうなるのか・・・。

がんによる痛みを我慢していると、痛みの感覚に敏感になり、鎮痛薬が効きにくくなったり、脈拍や呼吸が速くなる、血圧があがるなど、体に悪い影響を与えます。
体に与える悪影響だけではありません。

少し想像してみてください。
もし激しい痛みが慢性的にずっと続き、それを我慢し続けなくてはいけないとしたら・・・。

きっと痛みのせいで体を動かすことが嫌になるでしょう。
食事はどんなに素晴らしいご飯でも美味しいと感じられなくなり、眠っていてもよく起きてしまって熟睡できなくなるかもしれません。
痛みが原因で気持ちがどんどん暗くなって、物事を前向きに考えることが難しくなってくるでしょう。
痛くて痛くて心にゆとりがなくなって、イライラして周囲の人に八つ当たりをしてしまうことがあるかも知れません。

そこまでして痛みを我慢する必要があるのでしょうか?

体だけでなく、心にも悪影響を及ぼし、自分らしく楽しく生活できなくなるがんの痛み。

このサイトのタイトルでもある「すい臓がんでも幸せに楽しく生きる」ためには、この無用な痛みは我慢してはいけないのです!

 

痛みを上手に医療者に伝えるために

まず痛みが現れたら、我慢の限界にまで達する前に医療者に伝えましょう。
我慢の限界に達した痛みをコントロールすることは困難です。
痛みは出始めの軽い時期から適切に治療することによって、コントロールできるのです。

ですので、
「この痛みはがんとは関係ないかもしれない」、
「この程度の痛みで痛いって言うなんて・・・」、
「こんな痛みくらいで忙しい先生に迷惑かけられない」
などといった心配はまったく必要ありません。

では、どうやって伝えればいいのか?

以下の点を伝えると医療者にうまく伝わると思われます。

(1) いつから痛むのか

(2) どこが痛むのか

(3) どのように痛むのか
(ズキズキ、シクシク、重だるい、チクチク、ピリピリ、締め付けられるなど)

(4) 痛みが原因でどんな不都合が生じているのか
(眠れない、食欲がない、外出が億劫、寝返りができない、長く座っていられないなど、これまで出来ていたことで、痛みが原因でできなくなったことを書き出します)

(5) 何をしたら痛みが強くなるのか、または楽になるのか
(座ると楽、お風呂に入った後が楽、歩くと痛む、外出をした日は特に痛むなど)

(6) (現在内服中の鎮痛薬があれば)薬の効き具合はどうか
(できればお薬が効き始めるまでの時間や効果の持続時間について)

引用:金沢医療センター

ただ、これらの事柄を覚えておくことは難しいので、記録を取りましょう。

そこで、使って欲しいのがこのサイトで用意している記録用紙!!!

体調管理表ver2

これ、本当に便利なんです。
母が闘病中だった時に、妹りのさんが母のために作ったものです。
覚えているには難しいけど、記録するのもどうやったらいいか分からない・・・という状況で、試行錯誤の末に出来上がりました。
これを多くの人に使ってもらえたら嬉しいです。

使い方は簡単です。
詳しくは記録用紙をダウンロードできるページに書いてあるので、「体調管理用の記録用紙」のページを参照してみてください。

補足 どうやって言葉にしていいか分からない

お医者さんに伝えるのに、どうやって言葉に表していいか分からない場合もあると思います。

そのような時には、シオノギ製薬の「具体的なつらさの症状とつたえ方」というサイトを参考にしてみてください。

このサイトでは、痛みや副作用の伝え方の例、お医者さんの立場から伝えてほしいこと、また伝わった時にどんな対処がされるかについて書いてあります。

「がんのつらさ」をテーマにしたサイトなので、このページ以外も参考になるかと思います。

シオノギ製薬サイト

 

痛みを取り除いて楽しく幸せに!

ここまでがん性疼痛について書いてきました。

がん性疼痛は、勿論がんと関係のある箇所からも痛みが発生しますが、がんと併発して直接的に関係のないところからも痛みが出現します。

このようながんに起因する痛みは我慢する必要が一切ありません。
なぜなら体的にも精神的にも無用な痛みであるので、痛みを取り除くための治療を積極的に行うべきです。

ただし、治療するにあたって医療者に上手くつたえなければいけません。
医療者に伝えるためには、「いつから」、「どこが」、「どのようなときに」、「どんなふうに」、「どのくらい」痛むのかなどを言葉にして表現する必要があります。

そのためには、記録を取ることが重要です。
記録を取るために使って欲しいのが、私たちのサイトからダウンロードできる記録用紙です!

体調管理表ver2

こちらから記録用紙のページへどうぞ。

これを使って記録すれば、医療者に分かりやすく伝えることができます。
ぜひ使ってみてください。

痛みを我慢せずに取り除くことで、絶対に生活の質は上がります。

もし我慢をなさっている方がいたら、痛みを取り除くための努力をして欲しいと思います。

その先に、がんでも幸せに楽しく生きることが待っていると思います。

このページをシェアする

【膵臓がんでも幸せに楽しく生きる】からお知らせを受け取るには?

お母さんプロジェクトチーム
いつも【膵臓がんでも幸せに楽しく生きる】をご覧いただきありがとうございます。

FacebookやTwitterではがんの最新情報やおすすめの癒し情報など随時配信中です。ブログの更新もお知らせしているので、ぜひ登録して活用してくださいね♪

▼Twitterをフォローする

▼Facebook いいね!

お母さんプロジェクトチーム
↓のランキングボタンを押すと、この記事を他の患者さんにも読んでもらえる可能性が高くなります。よろしければご協力の程お願いいたします。

 

⇒すい臓がん ブログランキングを見る ⇒FC2 ブログランキングを見る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)